Progressive7収録『遭わずの空』

 
 

「29番船、<ロクサーヌ>、被弾!」
「なんだ、何が起こった!?」
「上空より敵船急降下・・・・ドイツ軍だ!」
「馬鹿な、奴らはもう出てこないんじゃなかったのか!」
「左舷13番船、<リベラシオン>脱落します。続いて33番船<コーンウォール>撃沈。27番船、<エイジ。オブ・ビクトリア>返答ありません!」
「敵はフォッカーII型が10・・・・20・・・・いやそれ以上!」
「LR11、撃墜、LR35、墜ちます! LR21、LR16・・・・墜落!」
「護衛戦隊に伝えろ、さっさとなんとかするんだ! このままでは壊滅だ!」
「LR1、連絡がつきません、撃墜された模様!」
「8番船、<ウェッジウッド>被弾、畜生、奴ら速すぎる!」
「LR22、敵船撃墜。LR9、護衛戦隊指揮代行します。迎撃命令、でました」
「遅すぎる、遅すぎるぞ!」
「司令、このままでは船団が維持できません!」
「独行させる気か? いまさらバラバラに逃げても意味がない。被弾した船を真ん中に集め、護衛戦隊の火力の強い船を外周に配置させろ。小型戦闘艇は敵船の迎撃に集中、それから邪魔な練習艇は待避だ!」
「11番船、<カティーサーク>、高度下げています!」
「奴ら、我々を待ち伏せしてやがったな。司令部の野郎ども、何が北海の制空権は確保しただ、生きて帰ったら殺してやる!」
「6番船<エンゼルフィッシュ>、被弾、されど損害警備・・・・LR17、高度あげています!」
「なにやってやがる、練習艇は船団からはずれるなと伝えろ!」
「返答ありません、さらに高度、あがります!」
「新米がしくじったな。かまわん、ほっておけ、今は船団を守ることが先だ」
「10番船、<タイタス>爆沈、衝撃波きます!」
「弾薬船をやられただと? 馬鹿野郎、はやいところヤバイ船は内側に・・・・」
「敵船1隻、当方に向かってくる!」
「! 緊急回避、バラスト投棄、上げ舵5度、奴の斜線からそらせ!」
「LR8、前に出ます!」
「かまうな、邪魔はできても撃墜はできん、さっさと高度を上げろ、死にたくなければな!」
「LR8撃墜・・・きます!」
「頼むぞ、神様女神様、我々を守ってくれよ・・・・」
「直撃、来ます!」



 

 

 

 

 

 

 

 

一九一九年、ドイツ最後の反攻作戦、『西の暴風:ヴェストシュトゥルム』。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一九三五年、シドニー。

 

 

 

 

 

 

 

 

『地上から遠く離れて』

 

 

 

 

 

 

 

 

空で、何を見たのか。そして、何を為すのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

コミックマーケット59刊行
オリジナル短編集『Progressive7』収録



『遭わずの空』




作:まるやまなおゆき



2000年12月30日(土)東京ビッグサイト
西地区“せ”ブロック 07a
『ジャンク・ヤード』
Progressive


 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・姉さん・・・・』

 


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