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「まさか・・・」
CONANは思わず口にした。
まさか、ね・・・。
目の前のTOYとさんざ無駄口を叩いていたのが瞬時に止まり、とり憑かれたかのように一点を眺めていた。
「ん?どうした?」
TOYが不思議そうに尋ねかけるのを、全く聞いていないかのように、一点を凝視したままであった。
「・・・?」
CONANの見つめる先には、馬に乗った一人の女性が居た。長い髪が風に揺らされるたびに軽く掻き揚げている。
「ちょっと、悪いけど」
早口に言うのもそこそこに、いきなりCONANはその女性に向かって歩き出した。
「お、おい」
服装、雰囲気こそ違えど、間違いなく彼女であった。CONANは率直にその名前を口にした。
「Recheal!!!」
なににも目もくれず、女性の前に来てもう一度名を呼ぶと、その女性は驚いたように目をみはり、
下馬して乱調に淀みながらも答えた。
「お久しぶりね」
それっきり、互いに言葉を失い、相手を見詰めている。
人でごった返し五月蝿いはずの銀行なのに、全てが耳に入らないかのように、ただただ黙って互いを見つめていた。
「あ、お、おれ、そろそろ行くよ。じゃ!」
空気を察したようにTOYがそういって場を離れるのを、果たして二人が気付いて居たかどうかわからないが、
だがようやく口を開いた。
「探した・・・ずっと、ずっと探してたよ・・・」
CONANがぽつりとそれだけを言う。もっと言いたい言葉もあるはずなのに。
「いつも・・・お店に行っても、君は帰ってしまった後だから、ずっと会えなかった」
「ごめんなさい・・・」
すまなそうに俯くRechealの肩を見つめながら、CONANは言葉を繋ぐ。
「いや、私が忙しすぎるのが問題なんだけどね。それにしても・・・まさかここで会えるとは思っても見なかった」
「私も驚いたわ。まさかここで会えるなんてね」
髪を掻き揚げながらRechealは答えた。店でも見せる彼女の、いつもの癖。服装以外は何も変わらないいつものRecheal。
だがCONANは見逃さなかった。
「・・・ここで会えたことは、幸運なのか、不幸なのか・・・」
Rechealに向き直ったCONANは、言葉を選びながら言葉を続けた。
「・・・会えたことは嬉しいけど、でもそのせいで見たくない君の側面に気付いてしまった・・・」
Rechealの髪を掻き揚げる手が止まる。
「店での君は言うなれば美しい雌猫だった。だが・・・だが今の君は美しくしなやかな雌豹だ」
CONANの言葉に目をみはりながら、Rechealは答えた。
「・・・気付いて居たのね」
「まぁね。店に居る頃から薄々気付いてはいたけどね」
「やっぱりいつかわかると思っていたわ・・・」
「どうして?」
RechealはCONANの目を見据えて、しばらくの間黙って見つめると、ようやく言葉を発した。
「貴方からは・・・血の匂いがしたわ・・・」
たった一言の言葉で、CONANは言葉を失った。
頭脳に蘇る鮮烈な戦いの日々。勇将らを従え、万馬の猛卒を率い戦場を駆け巡った、流血の日々。それに気付いて居たというのか?
「そうか・・・同じように気付いて居たのか・・・」
瓢げた表情、軟派な軽口の仮面の下にあった表情に気付いて居たとは・・・。 「・・・やっぱり不幸なのかな?不安で仕様がないよ」 CONANは言葉を繋いで、表情を隠そうとする。が、完全に失敗していた。
「・・・でもね、私は今の生き方を捨てることはもうできないと思うの。私を取り巻く何かが、もうそれらを許してはくれない。 だからいっそ、その奔流に身を委ねてみようと思うの。そうすれば何か見つかるかもしれない・・・」
「そうか・・・そうするのも生き方だろうな・・・」
RchealはCONANの言葉を聞きながら馬の轡を引き寄せた。
「でも、今日は本当にあえてよかったと、私は思ってるの・・・」
「そうか。私も・・・信じもしないはずの神に感謝している・・・」
そんなCONANの言葉ににっこり微笑んでRechealは後ろを向くと、
「さ、私行かなきゃ・・・」
首筋を少しだけ赤く染めながら、背中を向けたまま、
「私ね・・・あなたがいつか外で会えることを約束して、ってくれたマント・・・いまでも大切にもってるのよ」
馬を走らせてそのまま遠くに走り去った。
「ふぅ・・・今夜の風はやけに生暖かいぜ・・・」
帽子を目深に被って表情を隠し、少し軽く俯いた後、何かを呟いたが、いつしかいつのもの貌に戻ったCONANは、
仲間の元に帰っていった。


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