92年9月号でハーレーを作ってから約3年2回目のバイク作例です。

この間作る気がなかった訳ではなくバイクキットも買っていたし資料も集めていたのですがフィギュアの方が忙しくてなかなか手を出せませんでした。しかし自分の愛車(という程大事にはしていませんが)のスティードのキットがでるとなればやはり他人に任せるわけにはいきません。色々な面で少々無理をしてでも作りたいものは作りましょう。

今回は新製品紹介と言うには時期外れなので各部ディテールアップと共にカスタムパーツを取付け、追加しカスタム仕様とします。さらにお姉ちゃんフィギュアも作っちゃいます。

キットについては、各パーツ良く出来ており、メッキパーツなどはランナーからのゲートが接着面や裏側へ逃がしてあるものが多く助かります。パーツの出来もよく、基本通りに、仮組をしてパーツひとつひとつを丁寧に処理してやればしっかりと仕上がります。

バイクキットに限らずメッキパーツは問題となりますが、メッキの輝きは塗装では表現できず、すべてはがしてしまうのももったいないのでそのまま使えるパーツはそのまま使う方向でいきます。'94年11月号の一戸さんのXJRの作例で、メッキパーツにはとりあえずメタルプライマーを塗る、とあったので真似してみました。これが正解で、そのままだとなにか軽くて落ち着きのない輝きが、プライマーを塗ることで落ち着きのある渋い光沢になるのです。エンジンの左右クランクケースカバーやシリンダーヘッドカバー、タンクキャップ等に施しています。その他の改造したりパーティングラインを消したりするパーツはメッキをはがして再塗装です。

メッキはがしは最近は専用の液材も売られていますが塩素系漂白剤(キッチンハイターとか)を使いました。タッパーやフィルムケースなどに原液を入れ、メッキパーツを漬けるとみるみるうちにメッキが消えていきます。メッキをはがしてパーツを加工し終わったらシルバーで再塗装しますが、塗料のシルバーにも色々な色調のものがありますので部品の材質や表面加工で塗り分け、質感を変えます。メッキの替わりにはタミヤのクロームシルバー、エンジンシリンダー等のざらついた部分はモデラーズのスーパーシルバー、フロントフォークのアウター、キャブレターはグンゼの原色シルバーです。すべてラッカー系の缶スプレーです。シルバーを塗る前につや有りブラックを下塗りしていますが、そうしたからといって発色が良くなるとかの確実なデータはなく気分的なものです。フロントフォークは糊付きアルミ箔を貼り、貼りっぱなしだと曇ってしまうのでクリアーを塗りました。シルバーで塗装した部分には、エナメル系のスモークブラック(つや有り)を墨入れして陰影を強調してやることでメリハリを付けます。

自作および改造パーツについて、フロントフェンダー、ラジエーターカバー、リアフェンダー、シート、ビキニカウル、グリップまわりについては写真とキャプションを参照。

リヤホイールはノーマルのスポークホイールに、ホイールカバーを被せてディッシュホイールに見せかけたタイプに改造、キットのパーツにポリパテを盛り付け荒削りしたあとモーターツールにむりやり取付け加工しました。

フロントのスポークホイールはステンレス線で張り替えるのが基本だし仕上がりが段違いなのはわかっていたのですが、ハブの形状とか私の技術が足りないこともありまして、キットのままです。一応パーティングラインを消すときに少しずつ細く削っていますが、キットのままでも十分いけると思います。

マフラーはエキゾーストパイプ部分は3.5ミリのABS樹脂棒を現物合わせで熱で曲げます。何度か失敗してやっといい感じに曲がってくれました。メガホン部分はエポキシパテ接合部はポリパテです。見えなくなってしまいましたがマフラーステーも現物合わせで作ります。

アルミ削りだし風フロントステップは旋盤持ちモデラー、千葉延雄君に削ってもらいました。ありがとう!タンデムステップはキットパーツの加工、ただし根元は実写同様にフレームにコの字型パーツを接着し、フレームと一緒に塗装できるようにしておき、後から塗装したステップ本体を接着しています。

ウインカーはプラ棒と、透明パーツのランナーを接着してから削りだしますが、接着面が塗装できないのでプラ棒の替わりに銀色のパーツのランナーを使ったほうが良いと思います。フロントウインカーのホルダーは、フレームに紙を巻き付け、瞬間接着剤で固めてあります。薄いプラ板だとうまく巻けないことが多いし瞬間接着剤で接着しようとするとと割れてしまうしね。

ハンドルバーは、キットパーツのフラットバーハンドルをを加工。サイドスタンドのスプリングを追加、トリプルツリーをフレームにねじ止めしたあとのねじ頭に六角ボルトを接着、その他ボルトの追加など細々した部分にも手を加えます。

各種ケーブルのパイピングはキット付属のパイプでは太すぎるので、各社のディテールアップ用ビニールパイプを使いました。細いものが欲しいときは一芯のコードの芯を抜いてパイプにして使います。また、グリップからのスイッチ関係のケーブルや冷却水のラインなどバイクは割とパイプやケーブルが多いので組立説明図では指定されていない部分も資料を見ながらパイピングしていきます。クラッチワイヤーの接続部は、ステンレス線を使ったりして再現したのだけれどエキゾーストパイプで隠れてしまって実に残念です。あとプラグコードの取りまわしや、フロントブレーキのオイルケーブルが途中までスプリング状のカバーがついたケーブルにしているところも見てください。

エアクリーナーカバーはスティードらしさを残すため、ノーマルのままです。ハーレーの真似をするのではなくスティードのカスタムをする、というコンセプトなのでこれでいいのです。あと、こういう改造をするには寸法取り用にもう一台途中まで仮組したキットを用意するととても便利です。

塗装はライトガンメタル、実はティレル020専用色の缶スプレーでした。グンゼの新製品、Mrスーパークリアーつや消しは完全につやが消えて最高です。

本職のお姉ちゃんフィギュアはポリパテとエポキシパテで。わかる人にはわかるデザイン、ジャケットのペイントなんかそのまんまでバレバレです。熱いっスVF2。オレは漁師使い。