■03.4.25:星組全国ツアー初日
 星組の新トップお披露目の全国ツアーにいってきました。初日の広島公演です。いままで宝塚が盛り上がるのはサヨナラ公演と相場が決まっていましたが、昨年からいろいろ考えさせられる「サヨナラ」が続くと、こうして手放しで喜べるお披露目の日というのが本当にありがたくかんじられます。
 広島スタートの全国ツアーでしたがファンクラブもそろいのブルゾンで駆けつけ、ムラか東宝かという混雑。舞台も熱気がこもっておりました。さて、舞台についてですが、共同通信に配信した劇評がありますので、そちらでご確認下さい。おぼえがき
のコーナーにアップしてあります。なお、ここんとこサボりがちでした大劇場公演2作品分の劇評もまとめて掲載しましたので、あわせて御覧下さいませ。
 さあ、今度は日生劇場の「雨に唄えば」です。星組日生チームの健闘ぶり、拝見してきます。

■03.4.22:月組新人公演
「シニョール ドン・ファン」新人公演、春公演らしく北翔海莉、新公初主演です。
 まず、ハッタリタップリの登場シーンで驚かされました。こんなにいい男役だったっけ?(失礼)と、予想以上の大化けぶりにビックリです。
 前回の新公では湖月わたるのクロードで、力強さと迫力を学び、今回は紫吹淳のレオで、魅せ方と華とファッションセンスを学んだといったところでしょうか。あ、新公に先立って初主演したバウ・ワークショップでも、主演の演技も身に付けたようです。
 押し出しの強さと、良い意味でのクサさと、男役としての洗練度。大きな成長をハッキリ確認しました。
 芝居面は余裕の貫禄すら感じられる演技。いかにも「新人公演です!」「本役さんに比べるとアレですが、ガンバッテます!」みたいな力みかえったところが無いんですね。それでいて、クールぶってるだけではなく、ちゃんと感情のひだも表現できていて、ところどころ本公演以上に感情移入できたところも。
 ヘアメイクも工夫と発展のあとがあり、クセの強いデザイナーズコスチュームを無理なく着こなせていたのもポイント高かったですね。あのファッションリーダーであり、“濃い”紫吹淳さんの為にデザインされた衣装が、あそこまで似合っているとは、もう感服です。
 と、主演はベタ褒めしましたが、全体を見るとなかなか苦戦している生徒とそうでない生徒にバキッと分かれてしまっていたようです。ローサの城咲あいはこの手のいかにも“美女”というのは、板についていて安心してみていられます。が、紫城るいはジルというには大人すぎるイメージ。衣装全般が小柄で童顔の映美くらら向けにつくられていたので着こなしにまた頭を悩ませていたのでは?エピローグのウエディングドレスが……。この人でローサ・ヘミングを見てみたかった気もしました。パトリシアの椎名葵は歌と演技はGood。エステのシーンは良く通る声が印象的。ですが、一応モデルなのでもう少しヘアメイクに気を使ってほしい気も。かなりいろいろと工夫はしていたようですが、工夫しすぎているような気も。東京公演に期待です。
 姉の本役を演じることになった話題の(?)彩那音のセルジィオは、姉以上に通る声(失礼)と愛嬌のある表情でつかみの銀橋をしっかり成功。勢いをつかんでそのあとの芝居も好演。

■03.4.18:幻の「エリザべート」……桜吹雪狸御殿
 宝塚出身スターの同窓会公演を梅田コマにて観劇。
 実は初演の方は未見。今回もギリギリまで観劇するつもりはなかったのですが、急に思い立って観ることに。前回話題になった現役スターの出演もないため、非常にチケットも取りやすかったです(苦笑)。
 というのも、なんと今回は劇中劇でかの「エリザベート」をやる、と小耳に挟んだためです。狸御殿といえば脚本・演出は理事長・植田紳爾氏。植田演出の「エリザベート」といえばかつて「宝塚アカデミア」のイラストで「セットは大きな電飾カタカナで『エリザベ〜ト』の文字」「カーテン前に横一列で台詞を言う革命家の方々」「銀の馬車でお嫁にいくシシィ」とネタにされたシロモノです。これはなんだかすごいが見届けねばならない!と思い立ったのです。
 もひとつ、麻路さきさんの貴重な舞台復帰作(しかも娘役アリ)というのも気になっていました。
 さて、舞台の内容ですが、芝居の形をとってはいるもののあらすじなど至極簡単なもの。基本的にはショー的演出と楽屋落ちと、植田氏お好みの「一人二役」のドタバタを楽しむという作りです。同窓会公演とはいったもので、舞台はもちろん、客席も含めての同窓会状態。初めての人が純粋な舞台の楽しさだけを追求すると、ヒドくガッカリするかもしれません。
 まず歌詞のところどころに「タカラヅカ」を連呼する主題歌にのせて、熟年世代の出演者がキンキラの着物で日舞を踊ります。とにかく踊ります。そのうち曲はそれぞれのスターの持ち歌になったりして、気がつけばセリがギュンギュン動いて、「愛あればこそ」で日舞の総踊り。だいたい予想はしていたものの、とにかくすごい世界が展開されポカーンとしてしまいました。
 しかしスターのオーラとは凄いものですね。なにせ主要キャストはほとんどトップ経験者なのですから、一人一人の舞台力が違う。気がつけばどんどん引き込まれていて、フィナーレ、鳳蘭の「セ・マニフィーク」「セ・シャルマン」のメドレー、初風諄の「青きドナウ」に至っては、キンキラ日舞の違和感はどこかに吹き飛んで、歌と踊りのステージにオペラグラスを構えるのも忘れて引き込まれていました。だって、当時リアルタイムで聞くことのできなかった伝説のナンバーを、ご本人が!生で!ステージで唄って踊ってくれている!生セマニ!生セシャルマン!生ドナウ!!しかも一緒に踊ってるのは瀬戸内美八・峰さを理・麻路さきの星組歴代トップ(途中2代ヌケ)!異常に豪華なこの事実の前に興奮しない方がおかしい。この事実の前には出演者の年齢もすごい日舞も些末なことがらなのです。
 そしてそして、今回の目玉の「エリザベート」。版権問題と一応日本ものなので、作中では劇中劇『襟だべ〜』というものになっていました(この命名センスが植田作品……うれし涙でそうです)。一応ストーリーもあって、落語の「死神」を下敷きに、死神が病人の枕元に立てばまだ大丈夫、足元に立てばもうお陀仏、という内容。この死神が“トート”でして演じますは麻路さきさん。多少ふっくらした感じの舞台姿でしたが、あの薄グリーンのロングヘアのカツラをつけた姿(衣装は着くずした能装束)は、まさにあの、あの、思い出のトートそのもの!トートのナンバーを歌い上げると、カーテンが開き病の床に臥してい女房(お福)が出現。これがエリザベート役でして、演じますは初風諄さん(!)。お福のダンナで家の外から現れて「エリザベート開けておくれ」と唄うのは、旦那役の峰さを理さん。もうお分かりですね。フランツ・ヨーゼフです。
 あ、ちなみにすべてのナンバーの歌詞は本物の「エリザベート」で唄われたのとまったく同じです。なので日本物の「死神」なのに、「フランスとの外交」とか「ペストの流行」とか「ウィーンでゾフィーが牛耳ってる」とか、まったく無関係な歌詞がポンポン出てきます。はい、違和感バリバリですが、そのダイナミックさが植田イズム。
 フランツのナンバーが終わり、次に登場するのは祈祷師役の瀬戸内美八さん。山伏の衣装でもうノリノリで唄うは「キッチュ!」です。ことココに至っては「歌詞?何それ?」状態です。しかも瀬戸内さん、ハッキリハッキリ語尾まで唄うもんだから、テンポ押し気味なのもまた独特の雰囲気でこれがまた楽しい楽しい!
 で、話は祈祷師がミスってお福の布団を頭と足の向きを逆にしてしまったことから、枕元にたってたはずの死神が足元に立つことになり、そのため病人はポックリ。そこで死神はエリザベートを誘って黄泉の国へ逝ってしまうというわけです。最後のナンバーはもちろん「愛のテーマ」。
 はっきりいって、芝居の中身と音楽と歌詞がこうもてんでんバラバラな舞台にはお目にかかったことがありません。が、が、が!歌は素晴らしい!劇中劇の出演者はすべて(本役のトートは若干アレですが)とにかく唄えるメンバーなんです。しかも歌の持ち味とジャストミートしたキャスティング。おまけにみんなトップスター(と娘役)。贅沢なんてもんじゃありません。もう、この部分を聞くためだけにもいちど足をはこんでもいいくらいです。
 本物の「エリザベート」をやってほしいとはいいませんが、数年前にあったガラコンサート形式で、OGトップスターで「エリザベート」のナンバーを唄ってほしいものです。狸みたいな頭をカラッポにできる作品もいいけど、こういうピリっとした良質の舞台も期待したいですね。

■03.4.4:月組公演初日
 「花の宝塚風土記」と「シニョール ドン・ファン」の初日を観劇。
 「花の…」はオーソドックスなテーマをいろいろなテイストで切ってみせる日本物のショー。テンポの良さがとにかく目につきました。間々に「しっとり」系の場面を挿入しているのですが、中でもやはり松本悠里先生の丸山遊女の場面が出色。踊りの世界へ引きずり込ませるチカラとはこういうものなのだとゾクゾクしました。
 「シニョール…」はコシノヒロコが衣装デザインをしたということで、事前のPRがすごかった作品。初日ということで、コシノ先生も客席で観劇。著名な人物がスタッフとして宝塚を手掛けた場合、こうして客席に見に来ることはあっても、たいていギリギリまでバックステージにいて、5分前ほどでサッと現れるのが普通。しかしコシノ先生は会場まもない20分前くらいからご一行様で着席して、開幕を待っていました。義理やビジネスだけでなく、非常に気合いを入れてデザインをしたのだと一ファンとして好ましく拝見しました。
 さて、そのコシノ先生入魂の衣装ですが、やはり中には衣装に「着られている」生徒もいましたが、概ね着こなせていられた様子。コシノヒロコ自身が自分の世界に生徒をはめ込むタイプ(10年前のケンゾー氏はこれでした。こちらはこいらで緻密な色彩設計に脱帽しましたが)ではなく、「自分で着こなしをかんがえてごらん」と衣装を与えるタイプだったせいか、全体的に生徒のヘア・メイクの質が向上していたように思えます。もともと着道楽のリカ(紫吹淳)さんに至っては、もうさすがの着こなし。記者会見では少々突飛に見えた男役のガクランスーツも、舞台で踊っているのを見るとなかなかスタイリッシュでグー。
 さて内容ですが、寓話的ストーリーなので雰囲気と要素を楽しむ作品でしょうか。恋の行方という点では、「これがリカさんのサヨナラ公演よ」と言われたら信じてしまえそうなくらい、「ある種のカタチ」にハマっていました。
 また本公演では89期初舞台生のお披露目があるのも目玉。今年の初舞台生は劇団側も入魂の期らしく、事前からイベントで露出をバンバンさせていますし、なにより舞台での出番が多いのにびっくり!口上も開演前の紋付はかまではなく、劇中でちゃんとお衣装つけて化粧して……という久々のパターン。全体的にお化粧もうまいし、スラリと長身の男役が多いのも特徴。ファンの間でも、心無しか89期は青田買いの勢いがよいようです。

■03.3.14:花組ドラマシティ「不滅の棘」初日
 今一番勢いのある組といっていいでしょう。花組の新トップコンビ披露公演「不滅の棘」の初日を観劇。
 大鳥れいと、独特の大人のカップルを築いてきていた春野寿美礼に、はたしてふづき美世はどうなのか?と興味津々で拝見しました。ふーちゃんはいわゆる「娘役らしい」男爵令嬢と、金銭欲の強い現代的な娘の二役。いわゆる引く演技と押す演技の両方が要求されるのですが、引き過ぎず、出過ぎず、実に自然にオサさんと絡んでいたように思えます。お化粧やメイク研究したのか、宙組のころよりずっと奇麗に出ていたのも好印象でした。コンビの幅を広げそうなよい相手役だと思います。
 さて、主役のオサ(春野寿美礼)は「不死」の力を得てしまったキャラクター。前作「エリザベート」のトートで得た研ぎすまされた魅力が、人であって人で無いというこのキャラクターの特異性にうまくマッチしている上、大がつくほどの熱演。正直脚本は消化不足のところもあり、ときどき覚めてしまう瞬間もなきにしもあらずでしたが、その度にオサの熱演に引き込まれ、引き込まれし、なんともいえない名作を見せられたような気分でラストを迎えてしまいました。テーマも演技もすばらしかった。白一色の衣装とセットもクリーンで中劇場っぽくて新鮮。ただ脚本をもう一歩踏み込んでほしかった。
 あ、至ってマジメな作品でしたが、笑いのツボ(地雷)は多く、「ここ笑うところじゃないんじゃ…」というところで観客がドッカンドッカン受けていたのも印象的でした。初日のテンションの高さによるものだと思いますが(苦笑)。
■03.3.1:宙組大劇場公演
 久々の更新。二月は半分ほど大劇場公演もお休みだったので、気をぬいていたらこんなに時間がたってしまいました。
 さて、初日に観劇しました宙組大劇場公演「傭兵ピエール」と「満天星大夜總会」。いずれも娯楽作品としては高いレベルを誇っており、宝塚歌劇を初めて見る方でも楽しめる作風になっております。
 が、その反面ディープなファンには少々不満もありそうなのが「傭兵ピエール」。実はこの作品、原作のファンでもありまして、あの重厚でボリュームのある物語をどう料理するかというのが非常に気になる点でもありました。演出の石田氏は、長年培ったバラエティーショーの手法で、コミカルで軽快でややお下品(?)なテイストで、率直に笑いを取れる作風で、男性客やスターを知らない観客でも素直に楽しめる敷居の低さが魅力。しかしその敷居の低さが逆に固定客の女性ファンからは敵視されているのも事実な訳でありまして(苦笑)、私も「誠の群像」あたりまではどちらかといえば苦手な部類に入る先生でした。
 が、前作「長い春の果てに」で一つ段をあがった感があり、私の中で非常に期待の演出家という位置づけになっておりました。
 で、期待して拝見した「傭兵ピエール」。……原作ファンの私としては驚きと困惑、石田ファンの私としては「やってくれちゃって、もう」という喜び、この二つの気持ちがが今、混在しています。
 あらすじや登場人物はたしかに原作のそれですが、非常に庶民的な笑いがあちこちにちりばめられ(ま、ありていにいえばいつもの「お下品」テイストなんですが)、世界観と特にジャンヌ・ダルクのキャラ立てなどは、モロに石田ワールドに作り変わっているといってもいいぐらい。
 この驚きは多くの観客も同様だったうようで、休憩で席を立つと時の他の人々の呆然とした表情が忘れられません。原作を知らない人でも、救国の聖女と凛々しい傭兵のグランドロマンな物語かと想像するでしょうしね、これは。
 でも私は怒る気にはなれません。「なんじゃこりゃ!」と思いながら観たのは確かですが、こういう観客の裏切り方もありではないかと。  また、帰宅後所有の原作本を読み返してみましたが、重厚な原作に時折ふと現れる微笑ましい場面(荒くれの傭兵部隊に女たちが居着いて、徐々に家庭のあたたかみを感じるようになるなど)の心温まる描写は、石田演出の舞台にも通ずるものがあり、まんざら原作を作り替えたものでもない、と思い返しもしました。
 石田版「傭兵ピエール」は少なくとも娯楽作品としての楽しさとテンポの良さはキチンとおさえられていました。この楽しさと、気恥ずかしさの少なさは、周囲の男友達にも勧められそうです(あ、これでは石田演出の狙いどうりだ)。
 ショーの「満天星大夜總会」は華やかさとテンポ、ノリの良さでレベルの高いショー。香港テイストをうまく持ち込み、ちょっと宝塚では見なかった中華テイストです。言うなれば「大中」や「宇宙百貨」というチープ&キュート系の雑貨店をそのままショーにしたようなにぎやかでかわいらしいイメージですね。他にもプロローグの花總まりの剣舞はプリンセス・テンコーを思わせて「ああ、そういえばこの人もアジアの星だな」と逆に納得させられたり。オープニングからフィナーレまで飽きさせることなく一気に走り抜けるショーでした。

■03.1.29:バウ・ワークショップ
 1月2日にスタートしたバウ・ワークショップも、宙→星→月とあっという間に3組目。一組ごとの公演日数が短いこともあって、どんどん新しいバージョンが出て来て、観る方もなかなかあわただしい。とはいえ、これは連作でみてこそ価値がある公演だと思うので、こまめに足を運びたいと思います。
 さて、今週あたまに初日を向かえた月組編は、個人的に来月の観劇予定なもので、今のところ映像でのみチェック。こうして回を重ねていくごとに思うのは、生徒と演出家によって、作品とはこうも変わっていくものかということ。あっちこっちで書いてますが。あとは絶頂期の植田作品の力量はほんとうに優れていたということを感じ入りました。悲しいかな最近の作風はあらが目立つし、「今」の観客とは合わなくなって来ていますが……。しかし関西のマニアック集団を全国区のものにした功績は、宝塚中興の祖という言葉にふさわしいものでしょう。
 遅くなりましたが、前回のバウ・ワークショップ・星組編の雑感を「舞台おぼえがき」にアップしています。この公演の目玉はなんといっても、話題の研1生・麻尋しゅんのデビュー!これにつきます。よろしければこちらもどうぞ。

■03.1.21:雪組新人公演「春麗の淡き光に」
 花も実もある、という言葉がピッタリくる新公でした。主演の音月桂はプログラムに「本公演を御覧になる時のように安心して頂けるように」とコメントを寄せていましたが、その言葉どおりに安心して最後まで観させていただきました。
 また、長台詞の連続でやや説教臭くもあった作品を、ここまで清々しく若々しく、“新たなる旅立ちの物語”としてさわやかに描き出した新公担当演出の大野拓史氏の手腕と、音月桂の魅力に拍手を送りたいと思います。
 キム(音月桂)君にとっては2度目の主演でしたが、アイドル的な容姿とは裏腹に(失礼)、実に骨太でしっかりした和物の芝居を見せてくれました。やはりこのひとも轟時代の公演を経験した人だと、改めて実感。
 他、新公では損な役回りになることが多い、老け役の兼家を今年研5になる奏乃 はるとが堂々と老成した演技で見せ、地味ながらも舞台を支えていたのが記憶に残りました。日本物の雪組はまだまだ生きています。
 雪組新公詳細は「舞台おぼえがき」コーナーにて。
 次回の観劇は、今週後半のバウ・ワークショップ・星組編です。

■03.1.19:復活、大鳥れい
 17日から休演していた東京「エリザベート」のミドリさんが、早くも完全復帰。休演前以上のパワーで舞台を務めているようです。休演に対して否定的な意見もあるものの、やはり最高の舞台を見せるということ、また退団公演を満足に締めくくるためには、ひとつの英断だったと思えます。
 また、今回の代役・遠野あすかの検討ぶりもファン(とそうでもない方々)の間で話題になりましたね。役者の世界では代役は大きなチャンスともいわれています。本役の不幸を願うのではなく、与えられた機会を活かす、という意味で、彼女もまた、大きく羽ばたいたようです。
 「エリザベート」に関していえば、オリジナルスタッフから代役の稽古もしっかりするよう取り決めがあったことも、忘れられません。常にベストのものを見せる、作品の名にかけて半端な物は見せない、この姿勢は他の公演でも貫いてほしいものです。ヅカファンはどんな失敗でも愛して見守ってしまう、懐の大きさがあるので。

■03.1.17:大鳥れい休演
 休演「エリザベート」で退団公演中のミドリ(大鳥れい)さんが、体調不良(一説にはインフルエンザとも)のため本日からの公演を休演していると聞き、驚いております。これを書いている時点では復帰のめどはたたず、舞台は代役キャストが繰り上がる形で勤め、今後もこの体制が続くようです。
 東宝のトップ休演、しかもサヨナラ公演といえば、いやでもチャーリー(匠ひびき)の例を思い出してしまいます。あのときは病み上がりのトップを脇から力強く支えたミドリさんが、こんどは支えられる側に回る巡り合わせというか、二作品続けて退団トップが休演する花組の因縁というか、並の休演以上に複雑なものを感じます。
 しかし一番辛いのは本人であり、彼女の勇姿を目に焼きつけたかったファンであり、気持ち良く送り出したかった花組メンバーであり。一日も早い復帰を願うばかりです。
 思うに、前公演でチャーリーが無理したばかりに病状をこじらせてしまった姿をみていて、無理をせず治療体制をとったとも考えられます。千秋楽までまだ公演日程はあるので、悔いの無い瞬間を迎えるため、ゆっくり治療に専念してほしいです。
 幸い心強い代役キャストが、ミドリさんの抜けた穴をしっかりうめているようです。
 エリザベートの代役は新公で同役を勤めた遠野あすか。人気・実力ともに安定したものがあり、また大劇場新公のシシィは新人の域をこえた、非常に高いレベルだっただけに、あぶなげは無かったろうと思います。実際、本日の公演を見た人の話では、緊張ぎみながらも非常に立派な代役ぶりで、フィナーレにはひときわ大きな拍手は湧いたそうです。ただフィナーレナンバーのお稽古が間に合わなかったのかデュエットダンスはオサ(春野寿美礼)をメインに脇から出たあすかが少し絡む、という振付けに変更されていたそうですが(あの振付けは呼吸が合わないと難しいので賢明な措置かと)。
 また、あすかが演じたヴィンディッシュ嬢はドミノ式に桜一花が。こちらも堅さが残るながら大熱演だと伺っています。
 不測の事態でしたが、かえって花組の団結力やカンパニーとしての力量が証明されたのではないでしょうか。
 大鳥れいさんの、一日も早い復帰をお祈りしています。

■03.1.15:新春宝塚
 今年の宝塚歌劇、連続初観劇をいたしてまいりました。現在大劇場で雪組がお披露目中の「春麗の淡き光に/Joyful!!」、バウホールのワークショップ第一作、宙組の「おーい春風さん/春ふたたび」の2公演です。
 さて、観終わった感想。この中で最も面白く、退屈せずに見ることができた芝居は(ショーはのぞく)は、なんと「おーい春風さん」でした。脚本に無駄がなく、45分の短い間に「喜怒哀楽」そして「驚」の要素がサクサクと折り込まれています。勿論、歌も踊りもあり。なにより宙組のメンバーがノリにノッてつとめているのが実にいい。早くも千秋楽を迎え、すでに次の星組初日が迫っていますが、民話ものが生理的にダメ、という人でないかぎり、お勧めしたいですね。演出家によってこの作品がどう変化するのかも期待大です。
 大劇場公演および、ワークショップの詳細は長くなりましたので、「舞台おぼえがき」で。

■03.1.5:あけましておめでとうございます。
 遅ればせながら、こちらでも新年のご挨拶。
 昨年はいろいろと舞台を拝見し、いろいろと書き物もしながら、ここの更新がとどこおっておりまして、大変お目だるいことでした。新年一発目が旧年の帳尻会わせとなってしまいましたが、「舞台おぼえがき」のコーナーに、不完全ながらアップしました。秋の雪組全国ツアー「再会」から大劇場「ガラスの風景」までです。
 「再会/華麗なる千拍子2002」の劇評でも「朝海ひかるはピンクが似合う!」と書きましたが、元旦に初日を迎えたショー「Joyful!」でも、エンビもピンク、羽根もピンク、シャンシャンもピンクの総ピンク、ピンクづくしの衣装で大階段を降りていますね。スカイステージで確認しただけで、まだ生で確認していないのですが、コムさんにピンクを着せてくれてうれしいような、一方であまりにドピンクで、林家某さんのようでもあり、ちょっと凄すぎなような(苦笑)。
 いずれにせよ、芝居・ショーともに、予想以上にいい舞台のようで、ほっとしております(ナニを心配したんだか)。近く自分の目で確認するのが楽しみです。

 またお正月中に初日があいた舞台に、宝塚発の試み、バウ・ワークショップシリーズがあります。
 この娯楽の多い現在で、この「民話歌劇」、それも同じ演目を繰り返し3か月続けると言うのは、はっきりいって、興行的には失敗(実際チケットの売れ行きは芳しくない模様)、というか、思いきった採算度外視の決定ですね。
 私も、いちファンの視点からみて、あんまり魅力を感じない試みだと思っていましたが、こちらも前評判を聞くにつけ、それを改めなければいけないと感じております。どうやら、植田理事長が脚本・演出家として脂の乗り切った時期に描いた充実の一幕もの、という印象です。こちらも自分の目で確かめるのが楽しみです。

 スカイステージが開局し、我が家でも導入して半年が過ぎました。初日観劇以外は、スカイステージでダイジェストをチェックしてから、本公演を観る、というスタイルがすっかり定着していしまいました。
 そこで気付いたことは、やはり映像と生はまったく違うということです。映像では見えないものや感じない“空気の動き”のようなものが、生では伝わる。逆に生では見たくないアラが映像ではうまくカバーされてる……等々。全幕通しの放送でもこれなのですから、ダイジェストの場合など、生で観ると印象がまったくかわってしまうこともしばしばでした。
 スカステのおかげで両方を見比べる機会が格段に増え、生と映像の違いがより顕著になりました。やはり舞台は自分の目でみて、自分の肌で感じないといけません。
 気持ちも新たに、今年もいろんな舞台をみまくります。
 
■02.12.24:星組「ガラスの風景」千秋楽&サヨナラショー
 トップコンビのみならず、実力者、若手スターの大量同時退団で湧く、星組公演の大劇場大楽。
 幸運にも客席からその貴重な一瞬を観ることが出来ましたが、やはり改めて退団者の多さと顔ぶれの豪華さを再確認しました。ここまで歌えるーそれも単なる歌手ではなく、それぞれに自分の世界を持って歌を唄えるー逸材が揃うことは、もうないのではないか、そんな気にさえさせられました。
 ラストということで、お決まりのアドリブなんかも随所にちりばめられ、その楽しみもありましたが、やはり目を奪われたのは退団者のみなさん。いずれも清々しいほどの潔さをたたえ、迷いの無い舞台を務めていました。残念ながらねったん(夢輝のあ)とアキ(渚あき)ちゃんの声が若干不調で、特にアキちゃんは芝居の後半からほとんど声が出ないほどでしたが、かえって伝えたいこと、訴えたいものは切実に胸に迫りました。 ショーではかよちゃん(朝澄けい)の白い鳥、あんなに清らかで無垢なダンスは、そうそう目にすることはないでしょう。
 サヨナラショーは、星組の稽古場を彷佛させる場面から始まり、組子の会話が聞こえてくる中、タータン(香寿たつき)の思い出の舞台がよみがえります。星組トップとして宝塚を去る方ですが、星組生としての時間は短く、ショーの場面となった舞台も花や雪のものが続きます。この人ほど組替えに泣き笑いした人もなかったのではないでしょうか。
 かつてはサヨナラショーといえば、トップが主演を務めた作品からのナンバーが多く、組子全員でその場面を再現したりしたものですが、この激動の時代それも難しく、タータンが雪と花時代からのナンバー選ぶと、アキ(渚あき)ちゃんも花組時代の「愛 アモーレ」をソロで。また、ねったん・かよこ・そん(秋園美緒)もそれぞれのバウ主演作で見せ場をもらいと、バラエティにとんだ構成でしたが、荻田先生の手腕が光り、そして組子が一丸となって勤める姿勢がひしひしと伝わって来て、一つの世界観を作り上げていました。
 そんな千秋楽の夜、ようやく出ました星の次期トップ発表。星組育ちの専科・湖月わたると、星組中国公演参加の専科・檀れいの、別名日生劇場(風共)コンビ。
 トップから準トップへと、順番にバトンを渡すように受け継がれて来たつながりが、ここで一旦途絶えるため、寂しさもなきにしもあらずですが、まずは人気・実力ともに円熟の域に達していたわたる君がトップになれたことは、ほんとうに喜ばしく思えます。特に「Switch」「長い春の果てに」では演技面での向上が目覚ましく、テクニックだけでなくなんというか、「魂」のようなものを感じる芝居を見せていただけに、その芝居を今度はセンターで見られるというのはうれしい限り。
 また相手役にトップ返り咲きの檀ちゃん。彼女はその突出した美貌と、それに追い付かない技術面のつたなさがしばしばバッシングの対象とされていました。たしかにトップに抜擢されたころは、自信もなくなんだか落ちつかない様子でしたが、彼女も専科に異動し、外部を経験したりテレビの仕事をこなしたりするうちに、目に見えてしっかりしてきました。中国公演も歌に不安があるものの、抜群の存在感をほこり、やっとトップとしての貫禄が身についた模様。貴重な二度目のチャンスを活かし、いいトップぶりを見せてほしいものです。

 まだ「ガラスの風景」はまだ東京公演があるものの、次期トップの発表もあり、確実に星組の一つの時代が幕を降ろしたのと感じた一日でした。

■02.12.20:宙組「聖なる星の奇蹟」初日
 恒例となったクリスマスシーズンのドラマシティ公演。今年は話題の演出家・児玉氏と星組による「聖なる星の奇蹟」。あらすじ発表のころから、タイムトラベルを扱った映画やドラマ等との関連性を指摘されていた作品ですが、初日を見る限り、「過去作品に刺激を受けたオリジナル」の域でしょう。
 ただし、タイムトラベルものということで、複雑に現在と過去が入り交じり、複雑に影響しあうややこしい物語です。作者自身がこの複雑なタイムパラドックスの解き明かしに精いっぱいのてんてこまいと言う感じで、ストーリーはそのつじつま合わせに終始していました。
 もともとこの先生は非常に野心的に話の主軸をくみ上げても、登場人物の内面を細やかに描き出すというのは苦手なようで、今回も19世紀の人間が過去に行ったり、未来にいったり、未来から過去を変えに来たりと、こんなとんでもないことが起こっているにもかかわらず、主要キャラクターは結構アッサリ納得してしまうようなところがあります。
「こういう状態だっら、もうちょっと他に言いそうなもんだが」
 と感じてしまうこともしばしば。
 勿論、そこはお芝居なので、展開をテンポよくするために、多少のご都合主義的反応はあって当前です。しかし、そこにいたるまでの心の動きが表に出ていないので、内面心理を慮って観ていくと、おいてかれたような気持ちになります。もっとも、これは演じ手である生徒たちの役の掘り下げ、というところの問題でもあるのですが。

 SFミステリーとして見ると弱い点が目立ちますが、主演コンビを絵のように美しく描き出せている点は評価高し。特に現代にタイムスリップしてきたタカ・ハナ(和央ようか・花總まり)のコンビが、眼下に広がる夜景を見下ろす一幕の幕切れは、暗転の中、電飾を効かせた装置的にも絵的にも印象的な美しい舞台です。
 また場面の大部分をしめる、セットもシンプルでありながら暖かみがあり、小道具の使い分けで19世紀と現在違いを表現。19世紀の場面は暖かみも華やかさ格段にアップし、主人公フレデリックが現代よりも19世紀の昔に惹かれる、という設定に説得力を持たせていました(大劇場「ガラスの風景」といいこのところ、歌劇はセットの質の向上が目覚ましいです)。

 タカ・ハナコンビの絵になるコスチュームプレイ、特にハナちゃんの裾を後ろに長く引いたバックスタイルのドレス姿はため息もの。そして彼女を真ん中においた、タカ・ミズ(水夏希)の三角関係と男同士の対立。宙組ファンなら一度は観ておきたいシチュエーションが連続。
 児玉作品は既視感がただようものが多く、オリジナリティに欠ける同人作家的イメージがあるのですが、この宙のコスチュームプレイや、過去にはオサ・アサ(春野寿美礼・瀬奈じゅん)コンビ発掘、コム(朝海ひかる)の妖しさ炸裂と、ファンがグッとくるポイントを感覚的に本能的に嗅ぎ分ける能力に長けている方です。うまく大成すれば、小池先生に続く当て書きの名手になれるかもしれません。

■02.12.13:吉崎憲治オリジナルコンサート「TAKARAZUKA FOREVER」
 久々に観劇後、魂を釣り上げられたような、心ここにあらず、という気持ちになったコンサートでした。
 正直、TCAの吉崎ソング版かと思って鑑賞したのですが、その心に響くもの、心に残るものは、お祭り騒ぎのTCAとは比べ物になりませんでした(TCAを批判しているわけではありません。念の為)。
 派手なセットや演出がなくとも、珠玉の名曲とそれを大切に歌う歌い手があるということは何ものにも勝る贅沢だと知りました。
 無論、今日の出演者は全員歌の上手ぞろいではありませんが、一人一人が吉崎メロディを大切に大切に、曲のもつ世界を忠実に歌い表現していることが胸を打ったのです。
 そして大前提ですが、どのメロディもほんとうに素晴らしい!甘く、切なく、後をひく旋律、男役はより格好良くキザに、娘役はより可憐に華やかにと、歌い手の魅力を5割増しにしているような気もしました(失礼!)
 今日は全作曲2000曲以上の中からよりすぐりの44曲が披露されましたが、いずれも一度聞いたら忘れられないという主題歌ばかり。巨匠の仕事には限りというものがないのかと、空恐ろしくなるほどです。

 また、今回のビッグなゲストも話題のひとつ。シメ(紫苑ゆう)さんは、現役時代と見紛うような、当時そのままの姿で登場。この日、この一瞬の為に髪の毛は金髪のリーゼント、メイクは男役メイク、衣装は白に金の縫い取り。この現役生と同様のいでたちで、大階段から現れた時は、時間が10年逆行したかと思いました。正直リサイタルの時よりも若返っていたようにお見受けしました。
 ファンの中には、退団後も現役のようなヘア・メイクで舞台に立つことに、抵抗を覚える方もいるようですが(その気持ちもわかります)、芸能活動はいっさいしない、そのかわり舞台に立つ時はいつまでも「宝塚の紫苑ゆう」であろうとする、シメさん流のケジメと受け取りました。
 さて、シメさんは現役そのままの姿で「愛の祈り」と「熱愛のボレロ」を大熱唱。特に、二曲目「熱愛のボレロ」で、サヨナラ公演当時そのままに、銀橋をゆっくり歩み寄ったときは、感動とも驚きともつかない感情が会場中に渦巻いていたよでした。
 そして歌い上げ、袖に引っ込んだ時は、過去の記憶と今の感動がないまぜになり、魂が抜けたような心もちでした。そのあと引き続き登場する瀬戸内美八さんのことは、スッカリ意識から抜け落ちていたような状態。
 しかし、トップスターというのはみなさん凄いものです。雰囲気もガラっとかわり「魅惑のサンバ」で登場したルミ(瀬戸内美八)さんの、今いくよ・くるよもびっくりの衣装と、エンターティナーっぷりに、浮遊していた魂もギュッと引きずり降ろされます。
 思いきり明るく場を盛り上げたところで、続く「心中・恋の大和路」主題歌では一転して、声を詰まらせながらの熱唱。タータン(香寿たつき)に2番を歌い継がせて、自ら大階段を登って去る退場の仕方、鮮やかな演出です。
 また、このタータンの歌う「この世にただひとつ」が絶品。タータンが主演で再演したとしても、役柄上ここまでの熱唱はできないでしょうから、まさにコンサートならではの醍醐味。彼女の退団前にこの歌を聞けたこと、私の中で財産となりました。

 毎月劇場には足を運び、すでに慣れっこになっている帰り道を、後ろ髪引かれる思いで帰って来たのは、おそらく初観劇以来の思い出です。今年一年を締めくくるにふさわしい大イベント。おかげで本当に豊かな気持ちで一年が締められそうです。
 ありがとう吉崎先生!そしていつまでもお元気で!

■02.11.19:花組「エリザベート」千秋楽
 前回からずいぶんと間があいてしまいましたが、観劇はギシギシと続けておりましたので、そのへんの感想もこれからボチボチあげていこうと思っております。
 このひと月ほどの間にみたものといえば、10月末ごろに雪組のバウホール公演「ホップスコッチ」。下級生すみずみにまで目をくばって、非常に楽しい舞台ではあるのですが、あちこちで語られていますとおり、コメディ作品としては脚本が疲労していると言わずにいられません。
 その次は、雪組の全国ツアー「再会」。初日近くと言うことで、九州まで観にいってきて劇評を書きました。新コンビ、かなり息があってます。並んだ時のバランスもグー。こちらも後ほどアップ予定。

 それから少し間があいて、花組「エリザベート」の千秋楽公演。これは昨日観劇ほやほやです。
 長い長いハードな公演であったにもかかわらず、千秋楽ということで、振り絞るようなパワーを組子全体から感じました。特に、最後の審判の場、オサ(春野寿美礼)さんの「違う!」の絶唱など、脳天から背中までビリビリしびれるような威圧感でした。
 そして、続くミドリ(大鳥れい)さんのサヨナラショー。「ヴェロニック」のアガート、「ザッツ・レビュー」のお仙、「カナリア」のアジャーニと、新人公演ヒロイン、バウヒロン、トップ作品といろいろある中で、彼女らしさが出た曲、そして現花組メンバーとの思い出の曲をチョイスしたメドレーでした。  オサさんが「ヴェロニック」のナンバーより、「花の女神をご紹介します」と歌うと、下手花道から深紅の薔薇を抱えた、真っ赤なドレスのミドリちゃんがせり上がり。この登場の仕方だけでもゾクゾクするものがありますが、その後手にした薔薇を蒔きながら花道を通過。薔薇をまく、なんてカリンチョさんかヤンさんかという心境なんですが、とにかく堂々と、それでいて軽やかに歩く彼女の姿に、いいようもない満足感を感じました。
 その後ソロをはさんでから、「スピークイージー」の新人公演を再現して、アサコ(瀬奈じゅん)さんとのデュエット。これも懐かしい一曲。当時は二人とも若く、ミドリちゃんはそのころからすでに「女役」していましたが、アサコさんは初主演で五里霧中で体当たりしている姿を覚えています。今、円熟の時期を迎えた二人が、このナンバーを再現してくれたことで、純粋なショーとしての満足感もありました。
 後は「タンゴ・アルゼンチーノ」からのナンバーなどが続き、ラストは「夜明けの序曲」。花組性全員に送られて、大階段を一人、しっかりと強い足取りでのぼっていくところで幕となりました。なんとも彼女らしい、男前なショーではありませんか。
 一旦幕となった後、衣装替えの間に、チャーリー(匠ひびき)・タモ(愛華みれ)の両相手役からの声のメッセージ。三名のトップと組、それぞれから最高の形で送り出される彼女、これを娘役冥利につきると言わずしてなんと言いましょう。  この日、ミドリちゃんは、抱えた花束も赤、ドレスも赤、最後組からのお花と袴の時の髪飾りも赤い薔薇と、赤づくしでしたが、本当に彼女は赤が似合います。華やかで力強く、存在感のある女役。しかし相手役と組んだ時、しっかりと男役をたてて寄り添う姿勢が常にありました。そんな彼女だからこそ、歴代の相手役たちにここまで感謝され、送り出してもらえたのだと思います。

■02.10.24:スカイステージ「再会」
 雪組全国ツアー公演「再会」もスタートが近付いてきました。私もお仕事で初日近くに観劇の予定です。でもって、その前に初演版「再会」をチェック。ちょうどスカイステージが放送してくれたので助かりました。
 実はこの作品、ちゃんと初演を大劇場で観たはずなのに、すーーーーっかり記憶から抜けおちていました。軽い作品だったのでノバ・ボサにかき消された模様。最初この作品でツアーを回ると聞いた時は「え?!なんで?あんな作品で??」と耳を疑ったほどでしたが……こうして観返してみると、なかなかどうして、どうして。品良くライトな音楽に、ハッピーエンドのボーイ・ミーツ・ガールのストーリー。ちょっとしたウエストエンドのミュージカル・チックではないですか。ちゃんとオーバーチュアがある所もポイント高し(どうしてつまんないなんて思ったんだろ、私)。
 惜しむらくは目玉になる音楽か、ダンスかが無いことでしょうか。これは残念ながら、宝塚のみならず国産ミュージカルの限界でもあるようで。
 あとは台詞の洒落た感じ。「世の中には真面目すぎて他人を不愉快にする女もいる」等、なるほどと思わせる台詞がさらりと飛び出すのが印象的。ビン底眼鏡のサンドリーヌを「清く、正しく、正し〜い感じ」と、宝塚のモットーをもじって評するあたりは、ある意味地方公演向きとも(笑)。  再演にあたってのキャスティングを思うと、コム(朝海ひかる)さんの甘く都会的なキャラクターが、プレーボーイ小説家を自認しながら親から仕送りをもらってる、ボンボンのジェラールによくマッチしそう。まー(舞風りら)さんは、プロローグの花嫁衣装から一転、気合い一発のサンドリーヌにどこまで体当たりできるか、期待が高まっております。

 石田先生の現代劇は、最近の「長い春の果てに」もそうですが、サラリと流す中にもじんわりと心暖かくなるものがある良作ですね。バウホール公演などで観客が感じる出演者との心の近さを、大劇場に持ってくる手腕に長けています。しかし残念ながら、今の時代に観客が二度三度と足を運びたくなる作風かと言うと……。最初の観劇で生まれた感動というか、暖かい気持ちを、ずーっとそのまま大事に保存しておきたい、そんな作品なんですよね。今の時代大変かと思いますが、次回作(傭兵ピエール)にも期待しております。

■02.10.22:花組「エリザベート」新人公演観劇

 いってまいりました、新人公演。話題の名作、トップ目前とささやかれる娘役のエリザベート、新公卒業メンバー多数、と注目すべき点もいくかあり、新人公演特有のチケット品薄状態をさらにスパークさせていました。
 くわえて「迷惑防止条例」を引用してのさばき排除。東宝の方では比較的早くから行われていたようですが、遅蒔きながら大劇場の方も本腰をいれはじめたようで、通常のスタンディング・ポジションである建物入口付近を追われた人たちが、ゲートのそばからロビーのインフォメーションの近くまで出ばってきており(建物入口にも依然大量にいるんだけど)、かなりの混雑。その中を誰とも目を合わさず、思わせぶりに鞄をゴソゴソもせず、まっすぐズンズン歩くのにちょっと疲れました。
 さて、新人公演の中身についてですが、ここで書くと長文になるので「観劇おぼえがき」のコーナーに速攻アップしました。のばしのばしにしてた、本公演の分の覚え書き&新聞配信劇評原稿も一緒です。よろしければ御覧下さい。

■02.10.17:花組「エリザベート」観劇:3回目
 本日は、「初めて宝塚歌劇というものを観るのだけど」という先輩をエスコートして、エリザベートを観劇。自分的には初日の翌日、先週のマスコミ総見につづいて3回目。さすがに中日も近くなると、初見時以上に出来が良くなっていました。
 当初は、作品の大きさ、役の大きさ、歌の難解さに出演者一同畏縮していたところがありましたが、その緊張もしだいにほぐれ、ようやく生徒それぞれの持ち味が出始めてきたようです。
 その筆頭はルキーニのアサコ(瀬奈じゅん)さん。暗中模索の段階から、ようやく出口が見えたようです。芝居のメリハリが効いていて、気迫のこもった大音声の台詞まわしなどに、迷いがなくなっていました。ラストの「グランド・アモーレ!」の大絶叫など、ゾクゾクするほどです。ただ、ルキーニ役は過去“どっから見ても男”の轟&“狂気の権化”紫吹という二大怪演が出たので、その域にたどり着くのは大変でしょう。しかし、東京に向けて期待しています。
 当初は「宮廷ただ一人の男」つーか、男じゃん!と思ったハッチ(夏美よう)さんの皇太后ゾフィー。音を引っくり返す危険性もなんのそので、キィーッ!と声を張り上げてました。コメディチックな場面では、笑いを取れる余裕も。
 細かいところでは、マデレーネ役のみほ(舞城のどか)さんのタイツが、序盤では真っ青だったのが、今日は青い網タイツに変わっていたのも新発見。たしかに「鳥と魚」だから青い下半身も悪かないんだけど、あまりに青々してて少々ドギツかったのも事実。網タイツ変更は個人的に賛成です。
 シシィのミドリ(大鳥れい)さんは、相変わらずの美貌に、ますます貫禄がついた模様。ただ余裕が出すぎたのか、気が緩んだのか、本日はケアレスミスも少々。もっとも、そこからの立ちなおりの早さに、舞台度胸の良さを見せていました。

 てなわけで、花組版エリザベートは、観るたびに出演者の成長を発見できる作品となっております。チケット難で、気軽に何度も足をはこべないのは悲しいところですが、できる限りその成長を見届けたいところです。

■02.10.16:星組大量退団発表
 先週はバウ・大劇場・日本の美を愛でる・舞踊会と、観劇4連チャンだったので、急いで書いてかねば〜と思っていたら、舞踊会の日にタータン(香寿たつき)の退団発表、翌日報知がフライングで残る退団者を報道してしまったものだから、それどころではなくなってしまいました。
 申し訳ないのですが、タータン&アキ(渚あき)は、「そろそろか」の声が聞こえていたので、正直びっくりはしなかったのですが、驚いたのは、残りの同時退団者の顔ぶれですよ。
 毬丘智美、夢輝のあ、秋園美緒、鳴海じゅん、朝澄けい、高宮千夏。躍進目覚ましい若手あり、歌姫あり、ヒロインあり、名バイプレイヤーあり……。この8人だけでバウ公演くらい打ててしまう顔ぶれですよ!(Switchの後だからなお思ってしまう)
 退団者数とすれば8人というのは飛び抜けて多いわけではありません。でも、実に様々な層から、これだけの実力派・人気者、知名度のある生徒ばかりが抜けるとあって、
 「星組大丈夫か?!」
 の声もちらほら。特に「これからなのになぜ」と思わずにいられない面々が多く、星組ファンでなくとも、この発表には涙・怒り・疑問がないまぜになり、大きなショックです。
 いずれにせよ、新トップ(彩輝直&叶千佳とも)就任後、組のカラーが激変することは間違いなさそうです。

 今、大劇場では名作「エリザベート」を上演中。チケット品薄&貸切りが多く、平日にサバキ待ちを何度も目撃しました。少し前に千秋楽を迎えたバウの「Swtch」も前売りでは完売しなかったものの、その中身の素晴らしさとレベルの高さで、残り券はたちまち売り切れ、後半はチケットを求める人がバウ入り口にたむろするまでになっていました。
 そういうわけで、宝塚では平日でもバウ・大劇場あわせてのサバキ待ちがすごく、正直先週たびたび足をはこぶにつけ、
 「ムラでこんなに景気のいい風景ひさしぶり」
 と感動すら覚えたものです。
 次公演は忙しい年末ということもあり、少しは客足は落ちるかと予想していましたが、それも大退団公演と化してしまった以上気は抜けません。大楽はクリスマスイブ。久々に涙と悲鳴の聖夜となりそうです。

■02.10.8:観劇「Swtch」
 バウホールで早くも中日を迎えた「Switch -75thコラボレーション-」を鑑賞。
 なんとも贅沢で濃密、見応え充分のすばらしい舞台でした。
 このところ、サヨナラにお披露目に初主演と、いろんな意味で観る方がドキドキしたり、気疲れしたりする舞台が続き(それはそれで満足なのですが)、ここらへんでちょっと安心して舞台というものを見たいところでした。
 そして「Swtch」は、安心以上の充実、満足を与えてくれる舞台でした。
 文字どおり、75期生(研14)のベテランが、汗だくだくで、たった4人とは思えないほどのエンターテイメントを提供してくれました。久々に宝塚で、プロのスピリットが宿った、プロ仕事を観させていただきました。
 一幕は伊織直加と湖月わたるの、パーフェクトな人格入れ替え劇にうなり、また巧みな内面描写に涙。二幕は魅せ方聴かせ方を知り尽くした宝塚スターとして、存分に楽しませてくれます。
 目を引いたのはわたる君とエリちゃんの女役!エリちゃんはプリプリしたヒップ(下世話ですんません)も蠱惑的、わたる君はとにかくダイナミック(!)で、ロフトのセットの上にいるのに間近で観るような距離感を感じさせました(ロフトからはみ出すくらいデカい……。もっともこのデカさが燕尾姿の背中に映えるんだよ!)。特にエリちゃんはそうそう女役していないので、かなり新鮮です。
 二幕はコンサート形式のショー。それぞれが歌い継ぎ、踊り継ぎであっという間の45分です。最後の曲ではバックに出たスクリーンに音楽学校から現在までの、75期のスナップが映写されます。
 かわいらしい美少女たちが、音楽学校を卒業し、初舞台を踏み、組配属になり、役がつき、バウ初主演……と少しずつ、スターの階段をのぼってきた軌跡をたどるうちに、特に誰のファンというわけでもない私でも、目頭が熱くなりました。

 この公演は出演者のスケジュールが合わず、東京公演は無し。1月にスカイステージにて放送が決定していますが、これはぜひ生で観ることをおすすめします(窓口では完売ですが、劇場ではさばきが出ておりました)。公演日はあとわずかですが、一人でも多くの人に、あの時間と空間と舞台の良さというものを、共有していただきたいものです。
 (この公演の詳細は、「舞台おぼえがき」にアップしました)

■02.10.5:観劇「エリザベート」
 三井住友VISAの貸切公演分が当たった公演。公演二日目ということで、興奮しながら拝見してきました!観客もまだ初見という人が多いせいか、客席にもまだ緊張感がみなぎっており、開演を待つ束の間の暗転がシーンとしていたのが印象的でした。
 まず、全体の率直な感想。正直1幕は「あれ?」という感じ。「エリザベート」の装置、「エリザベート」の衣装、「エリザベート」の台詞。たしかに目の前で繰り広げられているのは「エリザベート」なのですが、なにか迫るものがない。生徒もちゃんとやってるんだけど、形どおりというか、どこか役の重みを受け止めるので精いっぱいという感じを受けました。これは4度目の再演で見る方が、どんどん「次」を期待していることにもよりますが。
 しかし2幕は急に出来がよかったようです。うまく気持ちがノッテ来たという感じでしょうか。特に今回の花組版のために挿入された「私が踊る時」のシーン以降、その傾向が顕著でした。
 このシーンは2幕の冒頭のハンガリーの戴冠式のシーンと、ルドルフが「ママどこにいるの?」を歌うシーンの間に入ります。
 元バージョンだと「エーヤン」の大合唱がプツッと途切れ、「ママ!」と子ルドルフが駆け出して来る、その一瞬の転換の見事さに目を奪われたのですが、今回はせっかくの新場面ですが、挿入によって、その見事なテンポを悪くしていたように思えてなりません。新曲「私が踊る時」が素晴らしいだけに残念です。
 ただ、この花組のオリジナルのシーンを経由することで、おさ(春野寿美礼)&ミドリ(大鳥れい)の気持ちがやっと役柄にシンクロし、役を通して気持ちを伝えられるようになっていたと思います。そういう意味でもこの場面なくすのは惜しく、もう少し、戴冠式〜新場面のつなぎを良くしていただきたいと切に思う次第です。
 あと、ハッチさんの皇太后ゾフィは「宮廷ただ一人の男」をまさしく体現した存在。ゾフィ=歌姫という刷り込みを打ち破る設定でした。たしかに歌唱力に不安な点はありますが、出ただけであたりを投げ飛ばすような(薙ぎ払うではなく)威圧感はありました。
 フィナーレは基本に忠実に、なおかつ一徳先生のアレンジも効果的。おさ&ミドリのデュエットダンスはいままで観たどの組のものよりもアダルティーで、久々にドキドキさせられました。
 とりあえず、まだ再演の重みと戦っているような状態で、でもトンネルの出口は見えかけているような状態で、千秋楽に向けて成長が楽しみな舞台でした。

 初観劇の興奮のなかから、まずは印象的だった点を書き綴ってみました。詳細はのちほど「舞台おぼえがき」で。

■02.10.4:エリザベート初日/スカイステージ「ダイアモンド・アイズ」
 ってタイトルにしましたが、私の観劇初日は明日なんです。すみません。
 はやくも飛ぶようにプログラムが売れ、初日を観られないファンは、各生徒の扱いやフィナーレナンバーについて、熱く語り合っているようです。
 私も興味津々ではあるのですが、仕事で劇書く点も考慮して、初見の印象をぼやけさせないよう、いろんな感想などはつとめてシャットアウトしているような状態です。
 個人的には明日のエリザベートを皮切りに、10月はやたらと観劇スケジュールが入っております(今年のピークかも)。バウが2本(「Switch」と「ホップスコッチ」)に、月組生がでる「日本の美を愛でる」。それから宝塚舞踊会。あと、仕事で参加するエリザベートのマスコミ総見日に、「宝塚初めてなんだけど、何みたらいい?」という方をエスコートしてのエリザベート。それから同じエリザの新人公演に、新生雪の全国ツアー……。観たらすぐ感想かかないと、頭がもちませんよ、こりゃ。
 
 ……と言う文章を、今スカイステージの「ダイアモンド・アイズ」を観ながら打っております。すごく昔の公演のようにも思えますが、つい去年の年末のこと。本当に花組は激動の時期をすごしてきましたね。映像では客席降りなどで、空席がポツポツ映ることもあり、代役公演のさびしさを物語っております。マリコ(麻路さき)さんが代打をつとめた「うたかたの恋」大劇場公演も、これに似た状態でした。二番手クラスの人材が代役をつとめても、絶対観たくないというファンも現れる。宝塚の代役公演の難しさです。
 当時私は大学生で、この作品そのものファンでした。シメ(紫苑ゆうさん)の怪我は残念としても、作品自体は一回でも多く観たいと思っていました。予定が明いた日など、(今は無き)テレザーブにフラっと電話すると、すごい良席が当日買え、うれしいような悲しいような複雑な気持ちになったのを覚えています。
 これが東京だったら、代役でも席も埋まったでしょうが、当時から大劇場はすでに満席にするのが難しい状態でしたので……。
 なんだか話は大劇場は席が埋まらない、って方面になってきてしまいました。今回の花組「エリザベート」は前評判と話題性で、歌劇団発売の分は平日Bまでめでたく完売御礼。
 ただし、チケットゲッターや、予想以上に多く押さえた人がキャンセルをかますので、ぴあ等の外の窓口には戻り券が舞い込みはじめています(ついでにオークションでもかなり出てます)。
 やはり、大劇場で観劇するのは、東宝とは比べ物にならないくらい楽です。

■02.9.24:スカイステージ:雪組東京公演千秋楽

 最近のスカイステージの躍進は目覚ましいですな。なんと夕べの東京千秋楽の模様が、もう朝7時のニュースに!
 先週のニュースは中国公演の映像がなかなかとどかず、水増し情報ばかりでがっくりきた後だったものですから(しかも、やっと届いた映像はハンディデジタルで撮ったような……)、この仕事の速さにうれしい驚きを隠せません。うがった見方をすれば、「他のニュースが無いんで、編集が速かったんだろう」となるのかもしれませんが、もう、どっちだっていい!東京千秋楽ですよ、アナタ!
 プラチナ覚悟でチケットとるか、東京大阪名古屋の映像中継会場に足を運ぶか、あとはグラフか歌劇が出るのを待つしか無かった、“最後の瞬間”をこんなに速く確認できたんですから。
 視聴料高いだけあって、いい仕事するよういなりましたね。スカステさん。6月下旬のプレ放送時がウソのように成長著しいです。
 
 さて、ダイジェストとはいえ千秋楽の模様はすごさはビシバシ伝わってきました。終わり無いカーテンコール、投げキッスの強奪戦(笑)、かけ声禁止の宝塚にわき起こる「ぶんちゃーん!」コールの連続。やはり、千秋楽は東京に限ります。
 わたしゃブンちゃんファンではありませんが、あの熱気ムンムンの中にいたらば、一緒になって「ブンちゃーーーん!」をやってたことでしょう。
 ファンがご贔屓のサヨナラに熱狂するのは当たり前ですが、そういうものを含めて人が宝塚に魅せられるのは、つくりややらせが横行するエンターテイメントの世界で、間違いなく「真実の瞬間」だといえるものが、そこにあるからではないかと思うのです。たとえそれが、乱造された「サヨナラ」であったとしても。
 一連の騒動がすめば、昔のような、まったりした雰囲気が歌劇の世界に戻るといいのですが……でも、一度こうなってしまった以上「だれそれはトップになるけど1作だ」なんて風評はこれからも出るでしょうし。第一スター専科の人員の行く末もまだまだ不透明ですし。

 昔のように、といえば、かつて生徒を法廷にまで引っ張り出した「タカラヅカおっかけマップ」が再編集新出版されましたね。もっとも今回のものは、個人情報(詳細な住所は未掲載)の掲載は中途半端、暴露話裏話の類いも、ネット時代では今や誰もがしってる内容、そして脱力のデータミス(生徒の組間違いなど)ときて、初版の時のセンセーションとはうってかわって「今度はたいした価値は無い」というのがファンの見解のようです。
 版元の鹿砦社は、先の「おっかけマップ」出版差し止め以降も、気を吐き続け、
 「裁判で決着をつけず、歌劇団から和解を提示してきたのは、こちらの勝利」
 「和解文にある『生徒の個人情報は慎重に取り扱う』という表現は、どうとでもとれる玉虫色」
 「歌劇団生徒といっても芸能人。芸能人なんてまともな仕事ではないんだから、プライバシー云々する以前の問題」
 「第一、歌劇団そのものが巨額の金銭が動く経済団体でありながら、法人登録もしていない不透明な団体。そこも今後調べていきたい」
 という風な内容を、文字数と内容の割に単価の高い単行本で発信しつづけて来ました。
 本当に歌劇団の経営に関するレポートでもキッチリ調べて出したのなら、その気骨が知れようと言うものですが、リリースされたのは中途半端なムラ周辺のガイドブックもどき。おそらく劇場近辺、阪急系列の書店では販売されないでしょうが、苦労して入手するほどのものではないかと思われます。
 ちなみに、天海全盛期のころに出た鹿砦社の宝塚本、今読み返してみると、その予想の外れっぷりに腰が抜けますよ。お試しあれ(本日毒舌気味。失礼)。


■02.9.13:新人公演ステージトーク
 ハンパな数で申し込んだのが幸いしたのか、友の会イベント、ステージトーク月組に当選。本日いってまいりました。
 ステージトークっつうのは、大劇場横のエスプリホールで定員220名ぐらいのちょっとした規模のトークショーだそうで。今度で6回目だそうですが、個人的には初参加になります。
 しかし、このステージトークっつうのはアレですね。ファンクラブのお茶会の歌劇団公認バージョンですね。
 FCのお茶会は公演中、劇場近郊のホテルの宴会場で開催されます。お茶とケーキが出て、ついでにグッズのお土産がついて、さらにゲームコーナーがあったり抽選があったりで、スターのサイン入りスチールなんかがもらえて、結構な頻度でスターが「歌のプレゼント」をしてくれるという、歌劇団的には非公認のイベントです。
 参加費は公にFCを結成できないごくごく下級生で3千円程度(お茶飲み会の名目でムラからちょっと離れてやる。グッズやお土産はなし)、上級生では5〜7千円程度でしょうか。勿論、自分もしくは同行者がその「会」に入ってないと、参加は無理ですが。
 さて、今回のステージトーク。こちらの参加費用はなんと2千円。こんなに安くていいの?!と、心配になるほど楽しかったです。
 無論、ステージトークはお茶会とはちがうので、飲み食いはついてませんし、ゲームコーナーもないし、歌のプレゼントもありません。でも、質問コーナーでは、選ばれた参加者は壇上にあがって直接スターに質問&握手ができ(今回からのルールらしい)、抽選で目の前でサイン色紙を書いてもらえ、しかも参加者全員が、帰り際に二人から公演スチール(メッセージ付き)を手渡し(!)でもらえると言う、ありがたさめじろ押し。これで二千円なんて、ありがたくてバチがあたります。
 
 今回当たった席は、お世辞にもいい席とは言えませんでしたが、観客を詰め込み過ぎていない分、どこの席からも双眼鏡いらず。しかも、段差の無い椅子のベタ置きにもかかわらず、前の人の頭がほとんどかぶらずに、ステージやモニターをみえるように、ちゃんと計算されていたためストレスはありませんでした。
 また、今回の参加者は月組新公主演のふたり、月船さららと紫城るい 。特にさららんにとっては二度目のステージトークでもあり、また持ち前のアドリブ精神炸裂で、非常に観客を楽しませてくれ、その点でも満足度は高かったです。

 気になるトークの内容は……さららんのは新人公演挨拶とかぶる部分が多かったのですが、それ以外ではウサギのシーンでフルーツをちらかした芽夢ちさととは同期で、普段のボケツッコミの関係が、やっとあの舞台(のアドリブ)で生きたとか、最近凝ってるのは携帯電話のデコレーションで、裏面に人形の顔面シールを貼付けて、頭はビーズでアフロにしたら、評判は気持ち悪いか、すごくいいかの両極端に別れたとか。
 ルイルイの方は、舞台の髪型は決定するまでいくつも候補があって、クルクルしたカツラも用意してたけど、舞台稽古で「ワカメみたい」と言われて却下したとか、本公演ではスパニッシュの場面があるので参考までに梅田のHEP FIVEのエル・フラメンコまでショーを観にいったとか(ちなみに、スパニッシュな場面があると、宝塚の人はたいていここに勉強にいくらしい)。
 あと、さららんは「新人公演卒業なので、そうしたらこのステージトークにも出なくなりますが、忘れないで下さい(笑)」とか言ってましたね。一事が万事例の調子で「ふと、思い付いたんですけど」と前置きしつつ、イキイキと話しておりました。


■02.9.10:「ヴィンターガルテン」&月組新人公演
 本日は、星組バウ公演「ヴィンターガルテン」と、月組新人公演「長い春の果てに」をダブル鑑賞してきました。
 まず、「ヴィンターガルテン」。このところバウは、舞台と客席の心の距離が近い、しっとり系の作品が続いたのですが、今回は久々に宝塚レビューの基本に立ち返るような華やかで芝居芝居した作品……だったのですが、出来は9日のつぶやきでご紹介した、前評判どおりでした(苦)今にして思えば。「SLAPSTICK」「月の燈影」のレベルの高さが伺えてしまいます。
 そう、生徒はがんばってました。朝澄&真飛のダブル主演もがんばってました。二人とも出ただけで人を惹き付ける、容姿と立ち姿に恵まれた美系男役なので、レビューシーンや軍服姿がとにかく美しい。でもって、新公などでセンターで芝居することを勉強してるので、宝塚歌劇の見せ方ってものも心得てます。
 ただ、生徒の方でどれだけがんばっても脚本までは直せないわけで……。描きたいことはなんとなく分かるんだけど、いろいろ盛り込み過ぎ&描写が寸止めで、観客は理解しながらついていくのにひと苦労。大学の講義を聞いているような感じでしょうか。そこここに笑いを取れる場面も作ってあるのですが、なにせ観客の頭がほぐれてないので、反応もイマイチ。熱演の生徒さんが少々気の毒でも。
 長くなりそうなので、これ以降は後日アップの「おぼえがき」のコーナーにて。
 ひとつ付け加えると、そん(秋園美緒)ちゃん!あなたがいてくれてよかった!あの取り付くシマもない描写の中で、唯一観客の涙を誘っていたのは、あなたの熱演でした。マジであなたが中国にいってなくてよかったと思いましたよ(って、彼女が決めることじゃないんだけど)。


 さて、難しいバウで凝り固まった頭を、ほぐしてくれたのが、6:00からの月組新人公演でした。
 主演のさららん(月船さらら)にとってはこれが最後の新人公演。さすがにベテラン新人(へんな表現)らしい、落ち着いた主演ぶり。すでにブラッシュアップの時期に入り、男役の完成にむけて走り出したという印象です。
 そして相手役のルイルイ(紫城るい)は新公初ヒロイン。大人びた顔と声優声のギャップが不安な彼女ですが、バウでは目立った大人びた印象も、大劇場ではさほどでもなく、声の雰囲気にひっぱられて、ちゃんと少女役になってました。ただし、さすがに14歳はキツい。16〜8ってとこですね。彼女と本役のエミクラ(映美くらら)では、さすがに体格が違い過ぎるのか、ところどころ本公演とは違う衣装で登場してたのですが、それが少々お粗末なのも気になりました。一回だけの公演なので、有り合わせになるのは仕方がないのですが、もう少し着こなしに気を配ってほしかったと。例えば、スカートの下にスパッツ組み合わせる衣装の、スカート丈が中途半端に長くて、だらしなく感じることも。
 演出担当は、「SLAPSTICK」でデビューた、ハートフル・小柳先生。今回もハートウォーミングな演出を期待していったのですが、もともと分かりやすい笑いが満載の石田作品を、さらにドタバタ喜劇にまで高めてしまっておりました。もっとも、一回こっきりということで、生徒が悪のりしてた部分も大きいとは思います。
 たとえば、メインの芝居の後ろで繰り広げられる下級生の芝居。役名も台詞も充分でない生徒たちにとっては、これも大切な出番なのですが、本公演以上に目をひいてしまい、芝居の流れそっちのけで笑いを取るのは決していいことでは(面白かったけどさ)。
 あと、台詞を噛んだり、小道具を落としたりと小さなミスも目立ちました。それも笑いに転換できていたので、見る方は面白いといえば面白いのですが、芝居の上で笑いをとることとは別のことと、心配になってしまったり。
 苦言が続きましたが、ウサギダンスのシーンで母親役の芽夢ちさとが、フルーツの籠をぶちまけるというアクシデントが発生した時、さららんがアドリブでうまくカバーし、周囲の城咲あい、椎名葵(&芽夢ちさと)もそれに続いたのはナイスフォロー&コンビネーションでした。いい舞台作ってるな、と思える瞬間です。さすがベテランの新人。
 苦言が多いのも、新公にしてはそれぞれがこなれてきていて、レベルが高かったという証拠。現代劇で笑いを取りやすい作品も幸いしてか、生徒が畏縮せずに舞台をつとめていたのが印象的です。
 
 書きたいことはまだまだあるのですが(って結構書いてしまいましたが)、細かくはこちらも「覚え書き」に後日アップします。


■02.9.9:スカイステージ「ヴィンターガルテン」
 7日土曜日に初日を迎えた星組バウ公演「ヴィンターガルテン」が、早くもスカイステージのニュースに登場。朝澄けい&真飛聖の初主演公演です。
 いつもながらスカイステージさんの仕事の速さと、
 「え?!こんなに放送しちゃっていいの?!」
 てぐらいのダイジェスト編成に、うれし涙。
 さて、ダイジェスト映像を見る限りでは、そん(秋園美緒)ちゃんが非常に美しい。今回のジョセフィン・ベーカーは黒塗り役なんですね。主要メンバー中唯一の。その茶色い肌が、しっとりとした華やかさをかもし出していました。
 個人的には、いままでしっかり系のイメージが強かったんですが、ちょっと予想を裏切られそうで、非常に期待大です。
 私の観劇予定は明日なのですが、巷の評判を先取りしたところ、
  • 生徒は大熱演
  • ショーシーンがため息ものの華やかさ&美しさ
  • しかし、脚本については語れない・・・
 という結果が出てきました。そんなに中身はアレなのか……?
 さて、明日はどうでますか。とにかくパンフは先に読めるだけ読み込んでおこうと思います。

 さて、ダイジェスト放送では、しのぶ(しのぶ紫)さんが初日挨拶をつとめておられましたが、彼女が今回の“長”なんですね。時代は流れましたな。トップ娘役とバウの長が同期というのも星組ならではです。
 時代は流れたといえば、バウ公演のポスターの質がここ数年急激にアップしているのも気になっています。今回の「ヴィンターガルテン」なんか、モノクロ撮影が生きる、非常に凝った、良いデザインしてますよ。
 一昔前は、たとえトップの公演でも、
 「なんか物足りねー、でも、しゃーないか。バウだし」
 って感じがしてたものです。
 今の生徒さんは、初主演からこれだけのものを作ってもらえて、しかも必ず東上もして、ビデオにもなる。幸せな時代です(その反面、別の部分で厳しさが増してるんだけど)。


■02.9.3:スカイステージ「レビュー記念日」

 いつもながら、仕事が早いですね、スカイステージ。毎年9月1日に開催されてる特別ショー、「レビュー記念日」の模様が、もう放送されてました。
 今年は幸か不幸か、各組トップの特出が無く、曲数にして3曲、挨拶も入れて15分ほどとあっけないほど短かったことが幸いして、ほぼノーカット放送でした。
 まずは、毎年恒例の「レビュー記念日讃歌」。ほんでもって「すみれの花咲くころ」、ラストは「さよなら皆様」。
 このなかのキモは、やはり「すみれー」のデュエットダンスでしょう。この一日のためだけと思えぬ、優美な振付けに目を見張ります。特に、リフトにつぐリフトはためいきもの。
 たしかに足下のぐらつきなど、稽古の足りてないところも目につきましたが、お稽古期間が短かいことを考えると(わずか2日ほどらしい)、それも致し方ないことでしょう。
 しかしこのダンスが今日一日だけのものとはなんと贅沢な。今回の本公演は、大階段デュエットがないので、どうにかしてねじ込みたいと思うほどの出来でした(ロケットとフィナーレの間にね)。

 さて、先日観劇取材した「長い春の果てに」の掲載原稿と雑感をようやくアップしました。「観劇おぼえがき」にあります。またよろしければどうぞ。
■02.8.27:月組「長い春の果てに」総見日

 本日は月組公演「長い春の果てに」のマスコミ総見日でした。例によって私もその端っこに参加させていただきました。
 あの「猛き黄金の国」の石田先生のラブロマンスと聞いて、少々おっかなびっくり拝見したのですが、これが予想に反してツボでした!軽やかでイイ!人がバンバン死んで「さあ泣け!」的演出には、さっぱり泣けない私ですが、この作品では鼻の奥、目の奥がジーンと熱くなりっぱなしでした(ボロボロ泣けはしませんが)。
 先生ご自身もスカイステージなどで「軽い恋愛もの」「愛よりも恋を描きたい」等々おっしゃっておられましたが、そのねらいはリカ(紫吹淳)&くらら(映美くらら)の的確な演技、とくにくららちゃん自身のもつ、娘役としての魅力が花開いたことで、大きく実を結んだといえるでしょう。
 実は、私は自己紹介にもかいてますが、娘役より女役派なので、トップ娘役への若手抜てきは、あまり歓迎しないたちでした。で、自動的に彼女のことも、
 「ふーん、若いのにやるねぇ〜」
 くらいの認識しかなかったのですが、今回、このエヴァ役の彼女を観て、180度意見がかわってしまいました。
 今回、彼女は14歳のバリバリの少女役。おしゃまで、それも大人ぶってて、勝ち気で……と、一歩間違うと、無理して子役ぶってるただイタイだけの娘役になってしまう恐れがある役所です。ていうか、私は実際に「多少の子供ぶりっこはしてるだろうな」と予想してしまってました。
 ところがどっこい!これが!も〜〜すごくイイ!ぶりっこでも、イタイ子役もどきでもなく、等身大のイキイキとした少女。しかも、アンチ・ロリコンの私がみても、この幼いエヴァ、見れば見るほどかわいいんですよ。
 また大人をさんざん引っ掻き回すのですが、彼女のわがままやあつかましさには、まったくイヤミなところが無いんです。根底にあるけなげさ、ステファンに恋することで生まれた大人性や母性といったものが、クッキリ見えているからでしょうね(映画版のエヴァは、イライラするほどワガママな小娘なのがその証拠)。
 
 まったくキャラクターは違うのですが、その昔「PUCK」でヨシコ(麻乃佳世)さんが演ったハーミアを思い出しました。純粋で清らかな正統派美少女を、ムリもイヤミもなく見事に演じきった、彼女の当たり役のひとつです(今でも語りぐさにしている人は多い)。エヴァという役の難しさの質は、このハーミアにも通じるところがあります。
 トップ娘役として大化け、とまではいきませんが、くららちゃん、確実に階段をガバッとのぼった感じです。
 
 今回は仕事での観劇ということでしたので、芝居を心底楽しめませんでしたので、改めてプライベートで観にいこうかとも思っております(だって、仕事の観劇だと上演中にメモとらないといけないし、拍手も手拍子もしちゃいけないんだもん〜)。

 今日はエミクラべたほめで終わってしまいましたが、後日、配信原稿と詳しい雑感を「おぼえがき」にアップします。


■02.8.26:大鳥れい 退団発表
 もう、そろそろ近いんじゃないかとささやかれてはいましたが、ついに発表になりました。ミドリさん退団。
 大作「エリザベート」のタイトルロールは娘役として最高の、最後の花道。これ以上は無い見事な引き際です。唯一、新トップの本拠地お披露目に退団をぶつけたことは、「おや?」と思わなくもありませんでしたが、実質のお披露目は博多で済んでいますし(あの作品は、このトリオだからこそできたはず)、新生花組のスタートを見届け、新体制にバトンを渡すような勇退とも受け取れます。
 思えば、千ほさちのドタバタ退団以後、タモさんのお披露目〜サヨナラ、チャーリー1作トップを経て、オサお披露目までと、激動の花組を力強く支えてきたのは彼女だったような気がします。

 先般の博多座観劇取材では、電車の都合で博多に一泊しました。翌朝、市内を走るバスに乗った時、ひときわ色が白く、華奢な女性が乗ってきました。小さめの白い帽子をかぶり、白いちょうちん袖ワンピースを着た彼女は、激しく一目を引くというわけではありませんでしたが、なんとなく際立った身のこなしが気にかかります。
 同行の知人(宝塚ファンではない)も気になっていたようで、
 「高原の少女のような人」
 と称したその人こそ、かのミドリさんでした。なんとホテルからバスで通勤してたんですね(プリペイドカード使用で)。
 博多座前で下車すると、バス停で待っていたファンクラブの幹部とおぼしき人物と合流し、二人で静かに楽屋口に歩いていきました。宝塚や東宝では考えられないほど、静かな楽屋入りでした。
 舞台のパワフルで貫禄に満ちた姿とまるで対照的だった、線の細さ、抜けるような肌の白さが、今でも目に焼き付いています。
 

■02.8.26:いってきました博多座

 すんごいおひさしぶりです。
 すんごい更新遅れてしまいましたが、さる8月13日に博多座にて、「あかねさす紫の花」を拝見してきました。
 いやー、よかった!博多までいった甲斐ありましたよ!(つっても観劇取材の仕事でしたが)
 芝居もショーも、どちらも再演ものということで、事前に初演・前の再演と、調べてビデオで鑑賞してからでかけましたが、いずれも前回の上演を上回る熱演だったといえます。
 詳しい雑感は、長くなりますし、すでに仕事で書いた劇評原稿もアップしておりますので、あわせて観劇おぼえがきのコーナーにアップしました。又よろしければみてください。

 じつは、せっかくの博多なので、同じ日にキャナルシティで公演中の劇団四季「ライオンキング」も鑑賞したんですが(こちらはプライベート)、たしかにいつもながらの四季のレベルです。声も良く通るし、役者も堂々としてて、演技も四季らしく及第点。でも何か足りないんです。
 で、その後、夜になってから博多座の花組を観劇して、ハッキリしました。気迫ですよ、気迫。
 かたや(今のところ)無期限ロングラン中のトリプルどころではない複数キャスト。かたや期限がきまっている公演で、新生公演で、なおかつ年一度の博多座公演。とまあ、バックボーンからして違うのですが、世界に匹敵するレベルをサラーと流して演じられるよりは、世界に出すにはまだまだだけど、出演者が熱を込めて演じてくれる方が、観る者に何かが残るのではないかと。
 とにかく、博多座はそれくらいすごい気迫のある舞台でした。良いもの見せていただいたという心境です。


■02.8.11:雪組再演版「あかねさす紫の花」

 火曜日に博多座観劇取材を控えて、この週末中に雪組版の「あかねさす−」を再見しておこうとビデオを探す。
 しかし、どこかに仕舞ってあったはずの「あかねさす−/マ・ベル・エトワール」のビデオが出てこない!押入収納ケース2個分(!)の宝塚ビデオをひっくりかえし、時折りなつかしビデオの誘惑に耐えながら捜査しましたが、実家に置いてきたのやら人に貸したのやら、とうとう出てきませんでした。
 で、仕方がないのでツタヤのレンタルを利用することに決定。近所の小ツタヤにではもう扱ってない(涙)ので、ちょっと大きめの店舗まで出ばって、やっとゲットしました。
 いやー、今回はレンタルに助けられました。思えば、ツタヤの歌劇ビデオレンタル、いつの間にやら尻すぼみに消えていった事業でしたっけ。仕方ないですな。舞台は生もの、ビデオ化したとしても、舞台上演からしばしのタイムラグがあり、それがレンタルに出回るのはずーっとずーっと後。お茶でいったら出がらしみたいな順番です。スタートした時のラインナップも「今更これ?」みたいなのがゾロゾロだったのを思い出します。花開かなかったのも当然といえば当然。
 でも、そんなレンタルの残骸に今助けられているわけで……。ごめんちゃい。

 さて、久々に鑑賞の「あかねさす−」。実は上演当時はあまり面白いと感じなかったんですわ。が、今日ビデオで観直して遅まきながら印象を修正。当時は観る方の自分も若くて、表面しか観てなかったんでしょう。いろいろ突っ込みたいところはまだありますが、少なくとも当時よりは面白く鑑賞。

 そう、面白くないといえば、この雪組版を当時観劇した知人のアメリカ人が、
 「このドラマはまったく理解できない、面白くない」
 と言っていたのを思い出しました。特に大海人が槍を突き立てるラストシーン、
 「どうして『おしずまりくださいませぇ〜』で話が終わるのか、分からない」
 とこぼしておりました。ワビサビの対極にあるアメリカの人には、白黒つかない上に、話が途中で終わっているように見えても仕方がないでしょう。特に雪組版の額田は気品があり、強烈に美しいのですが、二人の男の間で揺れ動く女の弱さとか、エゴは希薄。だからなおさら、
 「この女何考えてるのかわからなーい。どっちが好きなのか、きらいなのか、悲しいのか嬉しいのか」
 みたいな感想になってしまうのではないかと。

 今回の花組博多座版は、中大兄がメインのリニューアル版。雪組版よりも、中大兄−大海人−額田のトライアングルが見物ではないかと。オサ−アサ−ミドリの3人なら力の均衡も良さそうですし(一部ではミドリが目立っていて、ミドリの再お披露目だ!という感想もありますが)。
 なにより大人の女をやらせれば当代随一の大鳥れいの額田ですよ、大人のエゴイスティックさを出してオサ-アサのコンビに絡み合ってくれるのではないかと期待大です(品や格の点ではハナに譲るかもしれませんが……)。

■02.8.6:花組バウホール公演「月の燈影」

▲幸(さっ)ちゃーん!
 中日になってようやくの観劇。彩吹真央・蘭寿とむのバウホール初主演作にして。、沢樹くるみの退団公演です。
 さて、名義上は彩吹(ゆみこ)&蘭寿(とむ)のダブル主演ですが、芝居上はとむ主演といってもいいぐらいの印象でした。
 ゆみこさんは人を突き放す演技がメイン。その人生もミステリアスなもので、クールに登場しては要所要所を締めるという雰囲気で、観客にもとっつきにくい印象をあたえます(無論それも魅力なんですが)。
 対するとむさんの方は、本人の持ち味を活かした、人なつっこいキャラクターの上、ゆみこさんの謎を追いかけるという役所。観客の視点に近く、観ていて感情移入が容易です。しかもヒロイン・沢樹くるみと恋愛するのも、とむさんの方。
 ゆみこさんの方にも相手役的な存在として、新進娘役・桜一花を配していますが(祝・準ヒロイン!)、どちらかというと孤高を貫く存在なので、ほのかな恋の予感のムード(回りくどい……)くらいでとどまっております。
 しかぁし!フィナーレは一転して、彩吹真央の独壇場なんだな、これが!
 デュエットダンス(連舞?)は蘭寿&沢樹に譲っていますが(こちらは同期生のせいか“同士!”という印象が強い……)、後に続く男役を引き連れての、群舞は彼女が文句なしの主役。粋でいなせな男ぶりはいうまでもなく、スピーディーで力強い踊りに、舞台のみならず、客席のハートまで一つにまとめあげられたような気がします。客席が最高潮にノッたところで、フィナーレも終了。余韻を引きずりながら、出演者挨拶へと続きます。芝居ではとむに華をもたせ、舞台全体を引き締める役にゆみこさんを使う、うまく帳尻を合わせる演出です。

 あと注目すべきは、巾着切りの娘役だった桜一花。芝居面では、おきゃんで、きびきびした元気な女の子という役所に過不足無くフィットしていました。
 フィナーレは沢樹くるみ以下娘役ばかりの群舞に参加しているのですが、これが全員芸者のコスチューム。童顔のいちかちゃんも一生懸命背伸びして、“シナ”をつくって踊っている姿がなんともほほえましかったです。そう、芸者さんの中に小さい舞妓さんが混じってるような、そんな感じで、
 「まぁまぁ、小さいのに(ほんとに、他の娘役さんより頭半分ほど小さい!)一人前に頑張って!」
 と、親心炸裂でした。


■02.8.2:オンリー1路線の決意表明
 8月に入りまして、スカイステージも新番組ラッシュです。今月も面白げなラインナップですが、先月末ごろより予告は時々流れるようになっていました。それを観た人の一部で、ある番組が話題にのぼっています。
 その番組とは、初風緑コンサート「愛・舞・魅」。
 「スパークした花魁のようなガイチさんがおみこしにぃぃ!」
 とか、
 「すごいカツラ被ったガイチさんがぁぁぁ!」
 とか、私も舞台の方は未見だったので、初めて予告映像を見た時は、彼女の弾けっぷりに度肝を抜かれました。これ、ホントに宝塚の舞台ですか?でもって、今年の作品ですか?ですよね……。いや、びっくりした。
 はじめはいくらなんでも、演出家も衣装さんもいるんだから、彼女ひとりであのすごい状態になったんじゃないと思ったのですが、公式サイトにある
 「初風緑が今一番やってみたいことを凝縮したというコンサート」
 という説明文を読むにつけ、やっぱあれはガイチさんのお好みなのか、と妙に納得したり。
 思えば、「愛・舞・魅」と書いて「アイ・マイ・ミー」と呼ばせた時点で、すでにすごい予感がプンプンしてたとも……。

 ところが、本日放送の楓沙樹ディナーショー「MIRROR」でも、たまおさんが冒頭、郷ひろみの歌を「小林幸子風(本人弁)」の着物で唄っている場面に遭遇。その後のMCでの宣言、
 「オンリー1を目指します!」
 を聞くに至り、この手の小林幸子的迫力表現は「ナンバー1路線」ではなく「オンリー1路線」を歩む決断をした人の、決意表明であるんだなぁと痛感。
 やっぱ吹っ切れ度合いが違いますもん。夕べやってたタータン(香寿たつき)のディナーショーとは。

 とりあえず「愛・舞・魅」の初回放送は5日月曜日14:00 〜です。すんごい、楽しみ。

 
■02.8.1:スカイステージ「凍てついた明日」

▲娘役ながらスーツが似合うところも花組育ちっぽい
 グン(月影瞳)のボニーを観て、綺麗な女というのはこういう人なのだと改めて実感。もちろん、見た目の美しさもあるのだけれど、役との一体感がありながら、それがどんなはすっぱな役でも、香気があり、ヒロインとして中央に立てる華がある。そういう娘役、という意味です。
 グンちゃんのグンは軍隊のグン(←マジ)、色気が無いのは教育県長野の弊害(←某評論家弁)……彼女の演技の堅さ、気の強さ、色気の無さを指摘する言葉は、新公ヒロインを勤めだした頃から、数限りなくあふれていました。私もこれらの言葉と同様なものを感じており、彼女の同期トップ3人衆(純名里沙・風花舞・星奈優里)に比べ正直物足りなさをおぼえていたものでした。
 そんな評判をはねのけるかのように、グンちゃんは観るものがうろたえるほどの抜擢が続き(あのデカスカートのエトワールとか)、そのまま後輩に抜かれること(娘役はこれが多いのよね)もなく、無事トップ娘役に就任。
 しかし、タイミングが悪かったのか、組との相性が悪かったのか、お披露目の「誠の群像/魅惑II」は、彼女は痛々しいほど萎縮していました。元からかたくななイメージがあったグンちゃんが、さらに固まっていたのですから、彼女の星組生活を憂いだもんです。なので、その後星奈優里との緊急トレードが決まった時には、心底ほっとしました。
 そんな当時の彼女のイメージが未だに離れないものですから、ボニーで心・技・体あますところなく役に打ち込んだ姿を目にしたときは、なんだか感慨深かったです。「よくぞここまでたどり着いた」と。
 宝塚に娘役は多いけれど、ヒロインを出来る娘役は少ないです。ヒロインを出来てもトップ娘役になれる娘役はなお少ない。さらにトップ娘役になれても、ボニーのような域までたどりつける娘役は数えるほどです。あれほどビッグな娘役で知られた純名も「たどりつけなかった」ひとりだったかと。
 「浅茅が宿」の真名児、「凱旋門」のジョアンなど、一歩間違えると色物・実力系になりそうなクセのある役の方を、男役を必要としながらものびのびと、あくまでヒロインとして演じられる資質が月影瞳にはありました。その可能性が見えていたから、歌劇団も長い間彼女をヒロインの路線から脱落させず、不器用に悩んでいた新人時代も盛り上げ続けてきたのでしょう。


【バックナンバー】
●2002年7月の「つぶやき」……宙組新人公演/「あかねさす紫の花」というタイトル/東京宝塚劇場公演中止……舞台事故に思う/スカイステージ「'98TCAスペシャル タカラジェンヌ!」/スカイステージ「望郷は海を越えて」/スカイステージ「紫禁城の落日」/白羽ゆり/「イッツ・ア・ラブストーリー」/ページデザイン&タイトル変更/宙組「鳳凰伝」劇評執筆中……/スカイステージ「マニフィーク・タカラヅカ」/宙組「鳳凰伝」観劇/宙組「鳳凰伝」/宙組「鳳凰伝」のウワサ/東京「SLAPSTICK」千秋楽/ビデオ鑑賞「ヘミングウェイ・レヴュー」/雪組千秋楽

★ここより↓の日記は、親階層「Office Y2」のコンテンツにあたる「ぐうたら日記」内にて公開されたタカラヅカネタです。ファン以外の人向けに書いてるところもあるので「何をいまさら」なネタもあります。ご了承下さい。

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●絵と文:山本ちず●