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作・演出:植田紳爾 花組/宝塚大劇場/03.1 出演:朝海ひかる、舞風りら ほか 朝海・舞風の本拠地お披露目は、理事長のリベンジ日本物。チョンパで始まる伝統の春芝居は拍手を誘う華やかさ。 |
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正月を迎えても特別なことをしないという家庭が増えている。ナチュラル指向で「らしさ」を失いつつあるのが今の日本。宝塚歌劇も例外ではない。男役もナチュラルさを追求するあまり「ベルサイユのばら」再演をはじめとする大芝居になじめない若手が増えている。そんな風潮に警鐘を鳴らすような作品が元旦よりスタートした。雪組公演「春麗の淡き光に」(兵庫県・宝塚大劇場)。平安末期、腐敗した貴族政権を倒し新時代を切り開こうとした義賊・朱天童子の物語だ。作・演出は「ベルばら」のヒットで知られる植田紳爾。骨太なテーマに、総踊りで始まる春芝居の華やかさ、大きく見得を切る歌舞伎芝居の力強さと、日本物の醍醐味が随所に折り込まれている。作り手の「優れた伝統を忘れるな」という声が聞こえてきそうな作品だ。また本作は主演の朝海ひかるのトップ披露公演でもある。朝海は現代的な軽快さが持ち味の男役だが、昨年に比べ台詞まわしや歌唱面で大きく成長し、約束ごとの多い和物の芝居にあって自分を大きく見せる事に成功。トップの芝居を見せていた。童子追討を命じられる源頼光に貴城けい。日本物を得意とする人だけに衣装の着こなし、所作にも一日の長が見られる。特に終盤鎧に身を固た姿は武者人形のような美しさ。頼光の妹で、童子の恋人・若狭に舞風りら。鈴を転がすような声といじらしい演技が印象的。童子に人生を狂わされ執念の鬼と化す役人・野依知親は未来優希が大熱演。熱演のあまり一人で突っ走る部分もあったが、童子に切られた脚を引きずりながら歌う銀橋のソロは、豊かな声量を活かし一聴の価値あり。 出演者の奮闘で「現代っ子にも歌舞伎芝居はできる」と証明した公演であったが、中盤以降説明的な長台詞が続き、作品としては単調な印象を受けたのは残念。併演は新生の喜びを謳いあげるダンシング・レビュー「Joyful!!」。踊れるトップコンビの魅力を引き出した快作。二月四日まで。東京公演は三月二八日から。(ライター・山本ちず) |
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しかし、ストーリーやバックボーンをひたすら台詞で説明したり、持って回った解説口調が増えたりと、中盤より急激にテンポが落ちていくのは残念。特に序盤、朱天童子登場のシーンは、これでもかと盛り上がる劇伴に送られ、オスカル参上もかくやというインパクトだっただけに、余計迫力とテンポの良さが失速してくのが目立ちます。 終幕も親友であった源頼光(貴城けい)との対決をもってくるなど、大きな見せ場になるところを、くだくだしい長台詞で緊張感を潰していました。大衆演劇としての面白さよりも、和物芝居の伝統をとった結果だ、と作り手のメッセージは伝わって来るような気もしましたが、情感を出しつつテンポの良さももっていた「若き日の唄は忘れじ」という和物の傑作があったことを思えば、もっと面白くなるのでは?と疑問が残ります。。 ともあれ、失われつつある「歌舞伎芝居」「春芝居」を久々に堪能できる一作。平安時代の物語なのに、冒頭は歌舞伎若衆の踊り?などという、細かいツッコミ無用の「ダイナミック植田歌舞伎ワールド」に久々に触れました。 ■ショー「Joyful!!」は音楽をテーマにした藤井大介氏のショー。実力派の美穂・風早・未来・愛・澪・神月の6人を「音神」の通し役として起用。また立樹・壮・音月・白羽らの新進スターを随所に配し、人気・実力の両面で魅せた。ただ「音神」のキャラや、彼等の使い方等、前公演の「On The 5th」を思わせたのは残念。 しかし全編通して、新時代・新年の幕開けという華やかさ、豪華さにあふれ、また展開もスピーディーでスタイリッシュと、非常に見応えのある作品に仕上がっています。 藤井氏といえばJ-POPsをストレートに使用することで知られていますが、今回はありませんでしたね。次はそろそろ浜崎を起用するのでは?!と、噂が先行し賛否両論飛び交っていましたが、私、個人的には浜崎あゆみは好みではないもので、噂がはずれてほっとしております。 ともあれ、現在のショー作家の中でこの藤井氏と荻田氏は両巨頭であるのはたしかです。
カジュアルなコメディや、耽美なクラシカルロマンのイメージが強い、軽快な男役トップさんですが、この人の中にも「芝居の雪組」「日本物の雪組」は健在でした。登場の見栄の切り方もなかなか堂にいったもの。ちゃんと歌舞伎芝居を演じられており、安心して観ることができました。 また保輔/保昌も、巧みに演じ分け(弟はおっとり、兄はしっかり)、危なげない様子。大きな問題点はないものの、アクの強さでみせるハマコ(未来優希)、りりしさでみせるかしげ(貴城けい)らに挟まれて、やや印象が薄いような気も。 ショーでは歌唱力の向上がみられ、組子をバックに背負ってセンターに立つ姿にもトップの輝きが備わっていたように思えます。 安寿ミラ振付けの場面では、かつてのヤンさんを思い出されるシャープな動きを再現し、男役の伝統も継承。こういうシャープな場面もいいのですが、なんといっても軽快でコミカルなキューバの場面に強さも発揮。かしげ、まー(舞風りら)とのからみも、それぞれに呼吸があっていて安心感がありました。
芝居では保輔の恋人ながら、二人のシーンはほとんどなく、しかも物語の冒頭からすでに不幸の中にいるという、なかなか難しい役です。今回の脚本は男同士の対立や友情を色濃く描く反面、恋愛面はサラリと流されていたため、ラブロマンスを期待すると物足りないでしょう。 しかし、少ない出番をキチンキチンと押さえて出ています。リリカルな声質も、若狭のいじらしさとうまく重なっていました。彼女もまた歌に弱さがありましたが、芝居・ショー通して全国ツアーの時から向上が見られました。 向上したのは歌ばかりではありません。ショーでの存在感。トップのオーラとでもいいましょうか。こちらも格段にアップしました。正直全国ツアーの時は再演ものということで、前任者の月影瞳の華やかさと引き比べてしまい、やや寂しさというか物足りなさを感じる部分もありました(これは彼女のスリムすぎる体型にも関係していたのでしょう)。 しかし今回は、驚くほどの華やかさと押し出しを身につけ、センターで一人踊るスパニッシュの場面、コム(朝海ひかる)さんを魅惑するキューバの場面と、まごうことなくトップ娘役として彼女は存在していました。特にキューバン・ビーナスはお得意のダンスはいうまでもなく、衣装の着こなし、カツラのチョイス、そして歌い方・表情と、過去の彼女を知るものとしては「お見事!」の声をかけたくなったほど。彼女もまたトップになって「化けた」ひとりでしょう。そしてその変化に一役買っていたのが演出の藤井先生。花組時代からの付き合いもあってか、彼女の持ち味を最大限に理解し、引き出そうと心を砕く演出をしていたように思えます。
得意の日本物ということで楽しみに拝見。期待を裏切らぬ、りりしく華やかな若武者ぶりでした。特に終幕の鎧に実を固めた衣装はこの人でなければというほどに合っており、まるでみやびな武者人形が動いているよう。 彼女もまた、大きな歌舞伎芝居に臆することなく、ほれぼれするような時の声で場を盛り上げていました。 頼光と保輔は古くからの親友、という設定ながら直接向き合うのは、打つものと打たれるものになった終幕のみ。この場をもっと感情移入して迎えるためにも、もう少し両者の場面を作ってほしかかも。 ショーではコムさんとのコンビネーションの良さを随所で発揮。さらに白羽ゆりとの、ロココ調→ロックの場面は、スケールの大きいゴージャス系カップルの片鱗を見せていました。 軽快で踊れるトップコンビに、歌えて華やかな二番手コンビと、組バランスもいいですね。そういえば、二番手スターと娘役二番手格が場面受け持つ、というのはなんだか久々のような気がします。
初演時にはかの名脇役・麻月鞠緒さんが演じたという重厚なキャラクターを研11〜2での挑戦となったハマコ。力強い演技に銀橋ソロもあり、主人公と対立するが根っからの悪役ではない……と、かなりおいしい役所です。かなりはりきってのチャレンジらしく、初見ではこの知親しか記憶に残らなかった、という人もいたくらい、アクの強い大熱演で魅せてくれました。 朱天童子に足を切られて取り逃がし、それがもとで生き甲斐ともいえる仕事を失ってしまう知親。いためた脚を引きずりながら銀鏡で歌う「憎む…憎む…」のソロは豊かな声量とパンチの聞いた歌唱力を活かし、また鬼気迫る雰囲気をみなぎらせて、前後の芝居を蹴散らす勢いです。このシーンが観られただけでもこの舞台の価値はあるといえます。 しかし反面、その熱演ゆえに周囲の芝居から突出してしまっているのも確か。テンションといい発声といい、あまりに熱すぎる故に浮いてしまうようです。彼女が「春麗…」の初演である「新・花かげろう」の時代に舞台にたっていたなら、この芝居を受け止めるだけの熱さが、他の出演者にも、そして観客にもあったのではないか……とつい考えてしまいます。 もっとも、周囲とのバランスは、日を追うごとにとれてきているようです。激しさ・強さはそのまま残しながら周囲溶け込む芝居が期待されます。
知親の妻でハマコと同期生夫婦を演じています。仕事をなくした夫の身を案じ、子供をなくした哀しみの中で、懸命に生きる悲しい女性。難しい役ですが、彼女は実にこういう役がうまい。出過ぎず、引き過ぎず、しっかりとした演技を見せていました。歌唱力の面でも不安がありません。 ショーでは音神のひとり。彼女も前回のクラウン役に引き続きなので、似た印象を与えて損な役回りとも思えるものの、こうした個性的なキャラクターを演じられる娘役はと見回してみると、この歌唱力、この表現力、この存在感、やはり彼女の他にはないのだなぁと納得。
今回の「悪役」。藤原氏の頂点を極めた人物として、貴族の専横をあますところなく体現しています。下品なところはありませんが、「暴君」性はしっかり表現。主役を追いつめるハマコの知親が悪役に見えないのは、ひとえのこの人の存在感が非常に大きかったから。こういう本専科のお姉様方がいるというのは、まさに宝塚の強み。
保輔の牛飼舎人であり、朱天童子の忠実な部下役。冒頭の総踊りから長身ぶりでなかなか目をひく若衆姿。また朱天童子登場のシーンでは銀橋の反対に登場し、朱天童子をいざなう仕草に際立った男役ぶりを見せていました。 また台詞まわしにも張りがあり非常に明朗。日本物に強い印象を受けます。昨年のバウ初主演作も丁寧な芝居ぶりが印象的でしたが、今後チャンスがあればこの人で日本物のバウをみてみたいものです。 しかし未来・愛・立樹と、79期は実に実力者ぞろいで驚かされます。単にスターを排出したというだけでなく、それぞれが際立った個性をのばしていた点を評価したいですね。
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