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【共同通信社 配信原稿】
ミケランジェロの彫像は人体比率的には正しくないが芸術品としての完成度は超一級である。有名なピエタ像のマリアは立ち上がるとキリストをはるかに上回る大女になる。これぞ大いなるハッタリと言えよう。その大芸術家の半生を描いた作品が、現在宝塚大劇場で上演中だ。花組公演、宝塚グランドロマン「ミケランジェロ -神になろうとした男-」である。こちらも宝塚ならではの“大いなるハッタリ”が効いた力作に仕上がっている。ルネッサンス期、神に代わり石から生命を産み出そうとした大芸術家・ミケランジェロ(愛華みれ)。親しい人々の死を乗り越え、権力者の圧力にも屈する事の無かった彼の情熱と、深い人間愛を描く。この作品はトップスター愛華のサヨナラ公演でもある。
もともとソフトな印象が持味の愛華がワイルドな芸術家役に挑む点に多少ギャプは感じたが、「私は神のごときミケランジェロだ!」と大見得を切るシーンなど、ケレン味もタップリ。説明不要の気合いと情熱が宿り、愛華自信「私はタカラジェンヌだ!」と意思表示しているように感じられた。これこそサヨナラ公演のマジックと言えよう。
愛華の相手役である大鳥れいはメディチ家の令嬢コンテッシーナ役。ミケランジェロに思いを寄せながら、家の為に政略結婚を重ねていく。と書くと、ありがちなお涙頂戴の役所と思われるかもしれないが、非常に強い意思と個性を持った女性である。他家に嫁ぐ前夜、ミケランジェロを訪ねるシーン。ミケランジェロは作業場に隠りきりで、聞こえるのは鑿の音だけ。その音にコンテッシーナは語りかける。「兄の命令でまた嫁ぐ事になったの。今度はボローニャよ」まるで散歩にでも出るようにカラリと告げ、去ってゆく。強い(強がる)女は大鳥の十八番だが、この独白シーンは今回の見どころの一つ。
傍役で注目したいのは法王ユリウス二世の汝鳥伶。ミケランジェロを高圧的な態度で押さえ付け一方的に天井画制作を命じる。対立しているように見えて、実はミケランジェロの才能にぞっこん参っているのはこの好々爺なのである。ドラマを追うごとに、信頼を育み変化してゆくこの両者の関係が心地よい。
併演はグランド・ショー「VIVA!」。耳馴染みのナンバーに客席からも手拍子が尽きない秀作だ。(ライター・山本ちず)
(了)
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