その十七:究極の葬式?オリジナル葬への夢

 さて、以前行いましたお葬式に関するアンケートをみていますと、今の葬儀形式に対する不満はけっこう渦巻いていました。
 具体的にこうしたい!という希望はともかくとして、今の形式がイヤだという御意見がほんとうに多かったのです。
 今回は、このお葬式コラムの集大成として、みなさんの希望するお葬式のカタチをさぐっていきたいと思います。

【今の形式はイヤ】

  • 友達の父親が亡くなった時にお葬式に行ったのですが、その後ふと考えると、自分の家がどんな宗教でどういう風に葬られるのかを知らないことに気付きました。例えば、いきなり今死んだら、知らない神様のもとで葬られると思うと、なんだかめちゃくちゃ気持ち悪い気分になってしまいます。と、その時は思いましたが、今でもうちがどんな宗教(宗派)なのか知りません・・・。 (GENKIさん)

  • ごく身近な者しか悲しまないのがお葬式。しかも宗教儀式だから、さらに関心がない。どうしたらだれもが、心から悲しめるお葬式にできるだろうか(高畠達樹さん)

  • 今の葬式は、形式にとらわれ過ぎていると思う。 ( 河田彰規さん)

  • 葬儀とは、遺族に悲しみをあたえない儀式。 (makiさん)

  • 私自身は特定の宗教を信じているわけじゃないので、できたら無宗教でお葬式をやってほしいと思っているのですがこればっかりは自分が死んじゃった後のことなので仕方ないですよね。ダンナはあまりそういった「普通じゃないこと」はしたくないといっているので、私が先に死んだらきっとよくあるお葬式にされそう。ぜーったい長生きするぞ! (あららさん)


 最近、宗教的すぎる葬式、セレモニー化する葬式に対する反発が、少なからず出始めています。
 「普通」「人並み」を選択すると、生前は仏壇やお墓に手をあわせることも稀だったのに、仏教どっぶりの葬式で送られてしまう。
 参列しても、宗教的な儀式やマナーにとらわれるばかりで、ちっとも死者を悼む気持ちになれない。
 かといって、無宗教で葬式を出そうとしても、どうしていいかわからない…。
 送る方も、送られる方も、参列する方も満足するような葬式。難しいものです。

【生前葬】

 「生きているうちに、自分で最後の御挨拶を…」「自分の葬式も自分の手で…」と理由はいろいろですが、人生最後の大舞台も自分で手掛けたいと思う人は多いはず。そんな人におオススメなのが生前葬です。これだと、送られる方は、確実に満足することができるでしょう。なんせ、自分でやるんですから。

 生前葬儀の歴史は以外と古く、江戸時代にさかのぼります。『甲子夜話』によると、「私の命ある間に葬礼をしてほしい」と希望した熊本の家老が生前葬を行いました。本人は白装束を着て棺に入って実際と同じように葬式を進め、読経を聞き、埋葬される所で棺から帰還するという本格的なもの。

 記憶に新しい生前葬といえば、1993年に執り行われた水の江瀧子さんのものでしょう。芸能界の大御所阿らしく、葬儀委員長は俳優の森繁久彌氏、代表献花は故三船敏郎氏、司会は永六輔氏と、超豪華。にこやかに微笑む“故人”を前に、「惜しい人を亡くした…」と“弔問”が続き、会場からも思わず笑いが漏れるという明るいものでした。
 生前葬は、ゴージャスなパーティーともなりかねませんが、故人の希望通り、そして気持ちの上での交流があるという点では、右に並ぶものがない葬儀といえるでしょう。

【生前予約】

  • 自分のお葬式はしなくていいと思う。費用の問題もあるし、残された遺族が余計に大変な思いをするから。(yueさん)

  • 精神的にも金銭的にも、後に残る人の負担にならないようなお葬式がいいと思います。(平松 朋子さん)

  • 父は、現役で亡くなったので、やたら葬式が盛大で、お金がかかりました。自分の時は、焼くだけの葬式にして貰いたいです。勿論坊さんは呼びません・・。と言っても、子供もいない私の葬式は誰がするのか・・。手配してから死にたいです。(ayaranさん)


 残された人々に、葬儀の金銭的負担を負わせない、という配慮も時には必要です。
 そのニーズにこたえた商品も各社損保・生保から登場しています。東京海上火災がはじめた「生前予約」は「生前に葬儀費用を払い込む」「保険に加入する」「葬儀会社が元本を受け取り加入者は利息を得る、葬儀費用信託」の三種類が選べます。
 また、ソニー生命「if共済」は入会者が死亡すると、基本葬儀費用の10%の弔慰金がもらえ、葬儀内容の生前予約・プランニングもできます。
  香典制度のないアメリカでは、二割の人がこういった葬儀保険に加入しているのだとか。また、保険抜きで故人の意志をくんだ葬儀をプロデュースするという企業もあり、今後生前予約は日本でも伸びていく事業かもしれません。
 しかし、ひと一人死ぬということは、こんなにお金のかかるものなのか…。余談ですが樹海や海で遭難した、身元不明人の御葬式は、その地方自治体が請け負うのですが、そのお値段お一人様約七万円(お布施は別かもしれない。出すとこと出さないとこもあるかも)。
 「死」の値段はあってないようなものですな。

【葬儀音楽】

  • 祖父が亡くなったとき、夜中でしたが葬儀屋さんが来ててきぱきと段取りしてくれました。「ご宗派は?」と聞かれたとき、ぐしゅぐしゅと泣いていた祖母が「宅は救世軍でございます。」ときっぱり言ったのが印象的でした。
     救世軍のお葬式というのは たぶんキリスト教のお葬式と同じなんでしょうが 教会に行くわけではなく自宅でだしました。救世軍のエライ方(**大尉とかそんな称号のついてる方)がお話をしみんなで讃美歌を歌います。お焼香はせず献花です。近所でもそんなお葬式ははじめてだったのでみんなとまどっていました。納骨のときもお話と讃美歌を歌いました。誰だったかが「墓場で歌歌ったの初めてだなぁ」と言いましたが、ほんとにそうねぇって感じでした。
     お話と讃美歌、献花というお葬式は「旅立つ」って感じで、しめっぽくなくいいもんだなぁと思いました。(まじょさん)

  • 音楽(クラシック)が趣味の私は「死ぬとき聴く音楽」が無いなあと思っている。お葬式用の曲,レクイエムや葬送行進曲なんて言うのはたくさんあるが、あれは言ってしまえば悲しみに暮れる遺族のための音楽。そうではなくて、死ぬ人が気持ちよく死ねる音楽が欲しいと常々思って捜している。(321さん)

  • 私が死んだら、バックミュージックはハードロックをお願いしたい、又最後の出棺は飯島真理の「愛おぼえていますか」で送り出されたい。(私はただのサラリーマンです)(オカノさん)

  • 学生時代からお世話になった方のお葬式だったのですが、祭り大好きだった故人をしのび、町衆は法被で参列。告別式後にはみんな集まって酒を飲みつつ思い出話をしました。で、それから3ヶ月後の祭りの時、故人の自宅前で遺影を前に手踊り行列がそこで特別に踊りを披露。葬式の時、不思議と泣かなかったのですが、そこではもうこらえ切れませんでした。(PYONさん)

  • ジャズが好きだった上司が亡くなったときジャズ仲間が生演奏で送った。御経よりよほどいいと思った。(watchmanさん)

  • 母方の祖父が亡くなった時のことです。大工さんだった祖父のために、出棺の時はっぴ姿の大工さん達が先頭で木遣り唄を唄って下さり、その歌声の中お棺が運び出されていきました。この最後の木遣り唄は「最後の花道」といった感じで、祖父の人生を表現してくれていたような気がします。あのお葬式は「いいお葬式」だったなぁと今でも思います。(あららさん)


 お葬式の演出で難しいものの一つが「音楽」です。
 大体は宗派にあった宗教音楽や、仏式なら音楽も何も読経の声が鳴り響くなかで、というのがポピュラーですが、最近は生前になじみの無かった音楽で送られるのはヤダ、というニーズが産まれてきています。

 そのニーズをうけて、「お好きな音楽をお葬式用にアレンジします」という仕事も産まれてきました。頼めば「六甲おろし」でも「キャンディ・キャンディ」でも「燃えよ闘魂」でもそれっぽく、しんみりとエレクトーンで演奏してくれるそうです。

 また、アメリカでは葬礼用音楽CDを扱う業者がインターネットで、葬礼用音楽のサンプルを公開してます。ジャンルは、伝統音楽、古典、現代、イージーリスニング、ボーカル、民族、軍隊など多岐に渡り、これなら気に入る一曲が見つかるかも?。

【無くてもいい】

 お葬式に関する希望や不満がいろいろとある一方で、お葬式自体を拒否する意見もありました。特に若いうちは自分が死ぬ事、自分の死後のことはピンとこないだけかもしれませんが、宗教離れ・儀式離れが進むにつれ、これからも確実に葬儀拒否の意見は増えていくものとおもわれます。
  • お葬式は特にやってもらいたくないです。お墓に入るよりも、海にお骨を流してもらいたいですね。(小室秀明さん)

  • 自分の葬式は盛大でなくていい。むしろなくてもいいくらい。許されるならそうありたい。(タカハマンさん)

  • 「銀河鉄道999」の中でメーテルが「お葬式なんかいらない。時々思い出してくれればうれしい」というようなことを言っていたのを覚えています。自分もまったく同じ気持ちです。なるべくこじんまりやってもらいたい。(キッコーマンさん)

  • 葬式も別にあげてもらいたいとは今のところ思っていません。ただ、そういうときでもないと親戚一同なかなか集まれないですから、そういう意味では貴重な機会かもしれませんね。(hlfmさん)

  • 身内の葬儀では悲しいというより、早く終わらないかなという気持ちになります。こんなことに時間をかけるのは疲れる。(あまちゃんさん)

  • お葬式は、私自身出してもらわなくっていいと考えています。焼いて、適当に、どっかにおいとくなり、海に蒔いてくれるなりしてくれればいいと考えています。死んだ人に対して大金を出すのはどうかと思っているからです。しかし、実際自分の両親などが死んでしまった場合は、お葬式を出すだろうと思います。(アヤメさん)


 結局、お葬式は亡くなった人の為というよりも、残された人たちの為のものだということでしょうか。
 お葬式は、自分たちにとって故人はどういう人だったか、そしてこれからどうするか、など考えたり確認したりする節目の儀式であると同時に、やってほしい葬儀と、やってあげたい葬儀はまったく別物というところが、これからの葬式の問題点でしょう。

 よく「後の人に迷惑かけないように、山にでも骨を撒いてくれたらいい」という意見をききますが、いざ本当に亡くなってしまうと、遺族が「そんなことしたら、どこにむかって手をあわせればいいのか分からない」「お盆の時に帰ってくるところがない」と心配や感傷して、結局ごくごく普通の葬儀方法で葬られる事がままあるようです。

 だからこそ、自分葬式は、質素に!散骨して!なくてもいい!という人は、とにもかくにも文書で意志を残しておくことが大切です。
 故人の意志を、家族や近親者は知っていても、遠くから駆け付けた親戚たちまで汲んでくれるとは限りません。
「人並みにしないとはずかしい」
「撒くなんてとんでもない!」
などなど、反対意見も出るかもしれません。そんな時の為にも、意志は文書で。

【お金が問題】

 お葬式に関する希望や不満がいろいろとある一方で、お葬式自体を拒否する意見もありました。特に若いうちは自分が死ぬ事、自分の死後のことはピンとこないだけかもしれませんが、宗教離れ・儀式離れが進むにつれ、これからも確実に葬儀拒否の意見は増えていくものとおもわれます。
  • お葬式はやはり嫌なものですね。身内だと特にです。喪主とかだと、悲しみに浸りたいのにあまりの忙しさに目が回る思いもします。「簡単にすませたい」とも思っても必要最低限の準備だけでもかなりの額になるかと思うとやはり香典にたよってしまう現実に少々やりきれない思いです。日本の風習と言ってしまえばそれで終わりなんですが、もう少しなんとかなればいいと思ってます。 (みんちさん)

  • 葬式って結局ミエの張り合いのようなきがします。ウチで出した時はコースが3つくらいあって一番下のじゃナンだから真ん中のコースにした記憶があります。 (わたなべさん)


 先にも書きましたが、アメリカでは香典という風習がない分、葬儀にかかる費用をまかなう為に、保険にはいることもあるといいます。
 全葬連のアンケート調査によると、葬儀費用の合計額の全国平均は228万円。冠婚葬祭サービス「くらしの友」が行ったアンケートでは366.7万円にも登ります。
 人それぞれでしょうけれど、決して安い金額とは言えません。葬式自体は通夜を入れても三日。しかし遺族の人生はその後も続くのですから。
 しかも、葬儀費用を支払うのは遺族の中でもごく近親者。金も出さずに口だけ挟んでくる遺族というものいますが、権利は責任とワンセットです。故人が、遺族が望んだ形を受け入れるのも、親族のつとめだと思うのですが。

 お葬式は、故人の為でもあり、残された人間の為でもあり。近親者の死から一時でも気を紛らわせる仕事でもあり、故人を忍ぶ儀式であり、ミエであり、親戚大集合であり…。とても、一言でこうだ!と表現することはできません。

 しかし、個人的に思うのは、宗教観が変化してきている現代人の為に、もっと宗教色を出さずに、結婚式のように演出やコースを選べたら…と思います。もしくは、グッと安価に、シンプルに。
 今、一般的だとされているものでも、祭壇を飾り、お坊さんを呼び、お布施を出し…という仏教式のもの。「人並み」でも何百万もかかります。

 自分で御葬式を体験してみて感じたのは、個人の家でたった三日ほどの間に、こんなに出費がふくらむ機会というのは、そうないな、ということでした。
 もちろん、亡くなったじいちゃんは、こうしてくれ、なんて遺言しませんでしたから、遺族が全部決めてやらなきゃなんない。それもスグったらスグにです。こりゃもう葬儀会社さんの言うがまま、提示された少しの選択肢の中から選び取るのがやっとでした(時間もないので、選択肢が増えてもとまどうだけでしょうけど)。

 このコラム連載の情報で、みなさんの身の回りの御葬式が、納得いくカタチで出すことが出来たり、参列する時のとまどいが減ってくれれば…と思っています。
 あ、間違っても、爆笑体験談集のネタを思い出して、御葬式で吹き出したりしちゃダメですよ(といっても、人間やっちゃいけないことほどしてしまうので、仕方ないかも…)。

 長々とおつきあいくださいまして、ありがとうございました。
 本文はこれにてひと段落とさせていただきます。

 でも、体験談は募集していますよ!
 これだ!という御葬式ネタがありましたら、どんどんお送りください。
 お待ちしています。


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