睡眠不足との戦いもあとわずか。
棺桶周りのスタンバイもOK。
いよいよ本葬が始まります。
ここで、おおまかな葬儀の手順を挙げてみます。
| 1 遺族集合 | 各係を決め準備に入る 弔電を整理して順番を決める |
| 2 受付開始 | 各自持ち場につく 記帳簿・筆記用具を用意し受付を始める |
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| 3 僧侶到着 | 僧侶を控室に通し茶菓子を出す |
| 4 一同着席 | 遺族・参列者が会場に入る |
| 5 僧侶着座 | 僧侶が会場に入る |
| 6 開 式 | 司会が葬儀開始を告げる |
| 7 弔 辞・弔電披露 | 読み方・読み順は確認しておくこと |
| 8 読経・焼香 | 遺族から順次焼香 |
| 9 僧侶退場 | 読経が済み退場 控室へ案内 |
| 10 出棺 | 棺に花などを入れ蓋を締め 遺族代表挨拶 近親男子で棺を霊柩車に乗せる |
以下、この順番に沿って、話をすすめていきましょう。
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【遺族集合〜受付開始】
本葬開始までは、お通夜の時と同じく、一面ベタおしの花祭壇と、大プロジェクターで投影された祖父の遺影が、参列者を向かえます。
今日は、お通夜にこられなかった参列者の方や親類も集まり、いかにも「本番」という感じがしてきました。
遺族一同もそれぞれ持ち場につきます。仏の近親者(仏の妻、子供)である父や伯父叔母は、弔問客の対応で葬儀は始まる直前まであっちこっちに走り回っています。
近親者の子供、つまり仏の孫どもはというと、まず、いとこの男兄弟二人は受付の記帳と、参列者への菓子折の配布。私は控室付近でスタンバって、一部の参列者にお茶を入れては運び、運んでは入れの繰り返し。
それでもお茶係はまだ楽なものです。お通夜にくらべれば。さすがに本葬直前のあわただしい時間で、話しかけたり、お茶をがぶ飲みしたりする方もいらっしゃいませんからね。
しいて言うなら、葬儀場の借り物食器なので、数が限られてて、ひたすら回転率良く、入れて・洗って・下げてを繰り返さないといけないことかな?
それにひきかえ大変なのは、受付係。香典の数からして、集まり方がお通夜とはてんで違います。モノがお金だけに、それをカウント・管理・保管するのは、非常に気骨の折れる作業であります。
ここで一つ、香典処理をスムーズにする為の秘訣をお教えしましょう(ったって、そんな大層なものじゃないですが)。
この方法を一族に伝授したのは、実際に会社で経理マンの職につき、何度もそういう局面をくぐりぬけてきたという(オーバー)、私の伯父です。
- 香典を受け取ったら、必ず記帳をすすめる。
- 受け取った香典袋は、角を針と糸で通して順番が狂わないようにして重ねていく。
- その際、鉛筆で小さくナンバリングするとモアベター。
ここまでが受付時の注意。
次に、通夜・葬儀終了後などに、開封して確認する時の注意点です。
- 帳面に住所氏名金額を記入する係と、香典袋を開封し、中味と氏名を確認する係に分かれる。
- まず香典袋係が、香典袋に書かれた住所氏名、続いて開封して中味の金額を順番に読み上げる。
- それを聞いた帳面係は、帳面に記入する。
- 香典袋係は、記入を待つ間、袋の中味を抜いて、現金だけ集めておく。
- この時、香典袋係は袋に書かれた金額と中味が合っているか確認すること!
(たまに入れ忘れや間違いがあるので…)
- 以下繰り返し。
- 最後に帳面に書かれた金額と、現金の金額が合っているか確認して終了。
この方法でやれば、しばしば起こりがちな「香典袋と帳面と現金の数時が合わない!」なんてことは、まずまず起こりません。
(でも、記入係の私は、『30000円』を『3000円』と記入するポカをやって、結局大混乱に…)
ナンバリングもして、なおかつ糸で通してあるので、途中で一つ二つ抜けたらすぐ分かります。無論、ご祝儀ドロ対策にもなるって寸法です。
ぜひ、お試しあれ。
そういえば、香典処理をしていて、分かったことがあります。
それは、こんな香典は困る!というヤツ。箇条書ついでに、これもいってみましょうか。
- 住所書いてないの
「書かなくても分かるだろう」からか、「お返しなんて気にしませんから」という気持ちの現われなのか…。
どっちにしても香典返し送るときに困るのでお願い!書いて!
- 名前書いてないの
言語道断というか、不注意というか…。もう、お願いします。
- 間違ってるの
複合型の葬儀会場などでありがちな失敗。遺族の誰も知らない、謎の人物からの香典。
- ガチガチに封してあるの
開封の時手間どるので、糊は口が開かない程度に。
- ピン札が入ってるの
マナーとしてではなく、ピン札はくっついて枚数確認がしづらいという点で…。
多少わがままも入りましたが、自分が香典持っていくときには、これはやめておこうと思った点です。
特に最後のやつは個人的な主観ですね。マナーでは香典に新札をもっていくと、「予期して用意してた」ということになって、御法度らしいのですが、今はそんなこと気にしない人も多いらしく、実際新札が入っていたのも少なくなかったです。
マナーってやつも変わりつつあるなって実感しました。
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【僧侶到着】
お坊さんがいらっしゃると、とにもかくにも控室へ。
そこいらへんは、葬儀場の場合は葬儀会社が痛いくらい心得ているので、ちゃんと専用の部屋を用意してくれます。
遺族の偉いさんは、挨拶に。
しかし、お坊様の装束って、すこぶる「派手」ですよね。
いや、浄土が見えて「ありがたや」って感じでしょうか。神々しさすら感じられますね(いや、仏教だけど)。
普段の修行でお召しになってる袈裟なんかは、ストイックな感じ一点張りですが、こうして法事や葬儀に現われる時は、かなり豪華版。平安時代に法要や説法が大ブレイクしたのも理解できるというもの。やっぱり、お坊様には「晴れ」の舞台ですもん(いや、無祝儀事だけど)。
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【一同着席〜読経開始】
ここからがメインイベントになるわけです。
参列者が着席し、落ち着いたところでお坊様が入場してきます。一人の場合もあれば三人の場合もあります。
ウチは昵懇にしていただいたお寺さんの関係で、三人のお坊様にきていただきました。
人の間をぬって、しずしずと現われた様は、そりゃー、まー、すばらしくご立派。
これで拍手があれば「卒業生入場」。パイプオルガンが鳴れば「バージンロード新婦入場」という感じ。
ここでも祝儀・無祝儀はシステム的に紙一重だと感じることしきりです。
さて、お坊様が入場し、所定の位置に着席されますと、おもむろに司会者によって開会が宣言されます。
「ただいまより、山本寛二郎(祖父の名前)告別式をとりおこないます葬儀を執り行います」」
なんと、こんなしょっぱなに、まさしくあってはいけない失敗が…!
そうです。絵に書いたような間違いですが、司会者の方が仏の名前を間違って読んだのです!
わたしの祖父の名前は、上記の表記で「ヒロジロウ」と読みます。
ところが、司会者はいかにも情感たっぷり、葬式ムード炸裂!というイントネーションで、
「ヤマモト カンジロウ」
と、読み上げるではありませんか。
これには、うつむきかげんで、手にしたハンカチを見つめていた私も、ギョギョッとなって周囲の遺族を見回してしまいました。
ところが、回りの遺族--父も母も、祖母までも、慌てる様子など微塵もなく、落ち着き払ってうつむいたまま。
「も、もしやこれは、二十ン年間もうちのじいさまは
『ヒロジロウ』だと思ってきたけど、
実は『カンジロウ』の間違いだったとか?!
いや、そんなはずはない!
だとしたら、戸籍上は『カン』で、
普段使い(?)は『ヒロ』だったとか?!
どっちにしても、そんな大事な事知らなかった私っていったい…?!?!」
と、驚愕と不安が、頭をぐるぐるぐるぐる…。
家族の一員としてのアイデンティティがぐらつきはじめた時、読経開始を告げて、アナウンスがひと段落した司会者が、身を小さくさせながら遺族席にかけよってきました。
「あの…仏様のこのお名前は、『カンジロウ』様とお読みするんでしたよね?
…えっ『ヒロジロウ』様ですか?!ああ〜、申し分けございませんっ。
次にはキチンといたしますので…」
やっぱり、あってんじゃん、私が。
どうやら遺族の落ち着きは、よくある読み間違いだったのと、つらつらと寄せては返す波のような、情感たっぷりの葬式アナウンスに、すっかり呑まれて否やが言える状態ではなかったからのよう。
もう、脅かさないでよ〜。
って、いうか、雰囲気に呑まれたの私自身っすね。
その雰囲気ぐらいで、祖父の名前に自信を無くすあたり、もう祖父に合わせる顔がありません。じいちゃんゴメン。
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