その一 番外編:フォーマルは何で黒いか高いのか

 この番外編は「葬送狂騒曲 その一:「喪服」はオシャレ?」に寄せられた、おたよりコーナーです。喪服はなんであんなに高いのか、そして、ものすいごーく黒いのか?!その謎がここに!


 ★各項目の最後にあるブルーの文章は、山本のコメントです。

 ◆際立つ黒で…◆
●以前服飾関係に勤めていて、喪服について思い出したことが。
あのフォーマルウエアの黒というのは、特別真っ黒なんだそうです。
布の黒には色々あって、赤っぽかったり青っぽかったり白っぽかったり。
その中でも喪服の黒は、真っ黒なんだそうで、較べてみると確かに違っていました。
でも私もデザインがダサイのが嫌で、某ブランドのロングスカートのスーツを買ってしまいましたが。
一回も来てないですね。喪服だって思うだけに(^^;
もったいない。。。高かったのに。。。
(ねねさん)


---- これは、私も知りませんでした〜。生地にヒミツがあったとは。どおりでフォーマルがダサイにもかかわらず、メチャ高なわけだ。
 そういえば、昔、某紳士服店のCMで、
「×××のフォーマルは際立つ黒!
  ………パパ、カッコいい!(娘の声)」

てな感じのものがありました。これも黒いスーツが多々ある中で、フォーマル用の黒布地は、特別の黒。黒ければ黒いほど良い、とされているからなんですね。きっと。
 それにフォーマルを買いに百貨店に行ったとき、店員さんがこまめに衣装にハタキをかけていましたっけ。なんせ“際立つ黒!”なもんで、ホコリが目立ってしまうんですね。手間のかかる商品です。
 結局、私も“際立つ黒!”でなくても、手ごろな形、手ごろな値段の方がいいやと、フツーのレディースコーナーで、フツーの黒スーツを買ってしまったクチです。
 それを着て出てたお葬式では、
「あの人のより、パパの方がずうっと黒いわ!パパ、カッコイイ!」
とかなんとか言われて、どこぞのお父さんの株価上昇に一役買っていたかもしれません。

● >フォーマルウエアの黒というのは、特別真っ黒なんだそうです。

とのおたよりがありましたが、布地を染めるのには大きく分けると、糸染め布染めの2つがあります。
 糸染めというのは布を織る前に糸の段階で染めてしまう方法で、布染めというのは普通に織り上げた後から染めるやり方です。
 もちろん、糸染めの方が高級品です。
 最初から目的の色に染めた糸を使って布を織る方が楽なように思えますが、実はものすごく大変で、一気に同じ所、同じ条件で染めた糸を使わないとむらが出てしまい、途中で糸切れが出てしまった場合、全部廃棄になってしまうらしいのです(絹織物の場合)。
 布染めではそのような面倒がない分、つくりやすいのです。
 ただ、糸染めの方が“際立つ黒!”に仕上がります
(Sinさん)


----際立つ黒にはこんなヒミツがあったのですね。よく趣味の染色をやってるオバちゃんたちが、ムラムラに染めたセーターとかを喜々として身にまとっていますが、それをまったく均一に揃えろ、というのは難しいに決まっています。
 私も昔編物をやった事があるんですが、あれも最初に使う毛糸を全部一度に買っとかなくちゃいけないんです。後で買い足すと、同じ品番の同じ色でも製造時期のずれで微妙に色が違ってきちゃうからなんです。これも上記の糸染めの条件と同じことですね。
 ちなみに、私がそのとき編んだのはセーターですが、途中で毛糸が足りなくなって買い足した所、胴の胸から上と下で微妙に色わけされてしまって、非常に悔しい思いをしたのでした。
 ついでに言うと、そのセーターは毛糸が足りなくなったあたりからケチがつきはじめ、完成後も非常に情けない末路をたどったのでした。お葬式とは無関係なので、ここではあえて語りませんが……(たって、と問われると書くかもしれないが)。情けない思い出です。

 閑話休題。
 この「糸染め・布染め」の話を提供してくださったSinさんは、織物の産地にお住まいで、お父様が絹織物、お母様が化繊を織る工場にお勤め、お兄様が工場で使われる機械の設計をする会社に勤めていらっしゃるという織物一家の方だそうです。
 それで、こんな珍しい話も送ってくれました。


● 昭和63年のある頃、親父の勤めている工場に、やんごとなきところから、最高の絹を使った糸染めの黒の布地の注文が、極秘にまいこんできたそうです。
 時期的に考えると、その生地はあるやんごとなきお方の大葬の礼に出席される方が着てらした服に化けてしまったのではないかと…。
 造った喪服の原材料の量から想像してみると、かなりの数(少なく見てもフタ ケタ)のやんごとなき方々がお召しになったのではないかと思われます。
 この極秘注文の絹の話ですが、親父が私に教えてくれたのが平成5年になってからでした。
 なんと、5年間の間家族にも極秘だったんです。
(Sinさん)


----身内にも5年秘密だなんて、さすが厚さでは定評のある(?)菊のカーテンです。武田信玄でさえ、その死を秘しても3年が積の山。やっぱ現役皇族の(というか、それを取り巻く)パワーはすごいですね。
 ご成婚の時には、ローブデコルテの生地はどこどこに発注し、デザインは誰某にたのんで…と頼まれなくても公表しているのに、お葬式となるとまるでブラックボックスです。やっぱ喪関係だからタブー視されてるんでしょうか?
 喪服なんて、お葬式には必要な物なんだし、別に華美に走ってるとか、無駄遣いしてるとか(特別注文する自体、高級な買物ではあるが)、後ろ暗い出費じゃないんだし、極秘にすることはないと思うんですけどね。

※このコラムでは、お葬式に関するみなさまのご意見・体験談などを募集しています。
 ウチの地方ではこんなお葬式のしきたりがある!ウチの葬式でこんなことがあった!自分ならこんな葬式で逝きたい!など、お葬式に関することなら、どんなことでも結構です。どんどんメールでお寄せください。お待ちしています。

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