浪花節だよ、人生は



ひとまず辞表も出し、待つことしばらくして退社日は〆の関係から2月の15日と決定 いたしました。
さて、そうなると次は転職活動にスポットが当たってきました!
こんな会社出てってやらぁ!と、タンカ切ったはいいけど、全然職が決まらなかった らどうしよう!!!
明日からの生活も不安だけど、“転職先もなくリストラされた気の毒な社員”として同情を買うのは、たまらないものがあります。ここはひとつがんばならねば。



幸いなことに、私たちには有給休暇がほとんどまるまる残っていました。
と、いうの もこの会社、表向きは有給休暇有なんて書いていますが、事実上、私用での有給取得は禁止されていたんです!
では、いつとれるのかというと、病気や怪我で急遽会社を 休んだときの振り替えに当てられるのです。ケチくさいでしょう〜?
でも、まぁこのケチくささのおかげで、休みはたんまりのこっていました。この有給をつかえば退社までの営業日数、ほとんど出社せずにすみますし、当然転職活動もし たい放題です。



当然、こんな状態を見逃す手はありません。リーダー・チーフ・そして私の3人は最 後の最後になって有給を強制的に消化することにしたのです。
しかし、こんな連続休暇、会社サイドもみすみす見過ごす事はしないはずです。ただ でさえ取ってはいけないことになっている休暇。そうかんたんにとれますかね?とい う、気弱なわたしの質問に、リーダーは一言
「いいや、とる。
 出社しても仕事はまったくないからな。
 それなら、俺たちだって明日の生活のために
 有給をつかってもいいはずだ。」
この、気迫に押されてか、本部長の印鑑もすんなり取れ、(さすがに総務部長はおど ろいて止めたけれど)なんとか3人そろって20〜30日の長期休暇を取得することがで きました。
おのおの退社日から日数を逆算して、休暇に入ることになりました。



私の場合有給休暇は20日。
その間に何社かの会社や事務所プロダクションを回り、とにかく転職活動に集中しました。
その時にも、いろいろな経験ができたのですが・・・それはまた、別のお話しですね。
こうして、20日の間で、何社かの会社をまわり、断わったり断わられたりしながら、 なんとか休暇中に次の職にたどりつくことができました。
しかもその「採用」の連絡をいただいたのは、皮肉にも休暇も最終日・2月14日(あ、バレンタインデーだ)の夜、退社日の前日のことでした。



さて、運命の一夜が開けました。 とうとう1年弱つとめたこの会社ともおさらばです。 いちおう最終日ですから、会社のあちこちに挨拶したり、事務的な手続き等があった りします。
なによりけじめの上からも、ここはいっぱつ出社しておかねばなりません。 次の仕事も決まったことだし、久しぶりにいざ、会社へ!



久しぶりに出社すると、さすがに社員の半数近くが退社する日だけあって、ざわついた雰囲気です。さて、いつもの朝礼の時間になりました。退職者は社員の前で最後のご挨拶をして、記念品をうけとるのが、普通の場合のならいです。
しかし、今日ばかりは退職者のあまりの多さに、通常の連絡事項もそこそこで、端から一人ずつ
「おせわになりました」
「ありがとうございました」
などなど、短めのコメントがバンバン回っていきます。
ちなみに、私の場合は、
「大変、短い間でしたが、いろいろと勉強させていただきました。
 ありがとうございました。」
という、かなり含みの多いコメントでした。へへんだ。



さて、これらの大量退職者を出すにいたった、社長からの返礼です。
すでに、かなりのダメージをくらっていたので、顔色も悪く、表情も暗いのなんのって。それでも最後の力(?)を振り絞って言うには
「たいへんな時期を乗り切ることとはいえ、
 皆さんにはたいへん申し訳ない事になってしまいました。
 でも、みなさんだけではありません。
 ここにいる 本部長も、自分の給料をいらないとまで言ってきていますし
 取締役の方々も、もうここ何か月も給料をもらっていません。
 私も子供の教育費まで会社のほうに回しています。
 今回のことを無駄にもしないためにも、
 絶対に会社は潰しません
 みなさんも再就職する時に“潰れた会社からきた人間”と、
 言われたらなにかと不利でしょうから、
 絶対にがんばります。」



なんだか、最後のあたり変なコメントでしたが、さらに社長、涙ぐみながら、
「本当に、すみませんでした。」
と、いうなり、やおら全社員の前で跪き、土下座をしたのです。



いやーこれにはおどろきました!
朝礼会場はこの上なく緊迫した雰囲気がみなぎり、社長と本部長の二人は、感極まって(?)ひたすら涙々。(おいこら。)そして、この緊迫感から貰い泣きする女子社員のハナをすする音があちこちから・・・・
ああ!しめっぽいったら!!
ホントに、最後は無き落としで来るんですもん。(セコイなぁ)
この社長、借金取りが着た時からそうでしたが、全ての局面を“浪花節”で乗り切るんですよね。最後の最後は頭を下げるしかないんでしょうけど。
聞けば、来春採用の学生に内定取消を告げたときも、土下座しまくったそうです。(ちなみに違約金は一人たったの5万円だった。)
そういうことを考えながら、わたしたち販売促進部のメンバーは白けきったおももちで挨拶を終えたのであります。




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