クリスマスに“女ライダー”見参


さて、鬼のような埼玉奴隷出張もおわり、本部長もオープン後しばらくは様子見に埼玉滞在となりました。 しばらくぶりに羽をのばせると、よろこぶ販売促進部メンバー。しかし、時期まさにクリスマス。パジャマ業界が最も熱い時期。たとえ、倒れかかった会社でも同じことです。



落ち込んだ売上もこのときばかりは復活し、それにともない日頃は抑えぎみだったディスプレイ作業も、ここぞとばかりに息をふきかえしました。
私たちも、うれしいことに百貨店のディスプレイや、新案ギフトボックスやラッピングペーパーのデザインなどの仕事にありつけ、やっと販促部デザイナー・プランナーらしい仕事ができたと、少なからぬ充実感を味わうことができました。
今おもえば、私たちの仕事らしい仕事、というのはこれが最後だったようです。
順調であるかのように見えたわが社のクリスマス商戦、いざフタをあけて見れば、前以上の打撃を受けることになったのです。



と、いうのも、まず単純にクリスマスシーズン前に見込んだ売上が、思ったほどのびなかったことに一因がありました。いくらプレゼント用だとはいえ、高級パジャマなどが飛ぶように売れるわけもなく、そのころメイン商品になりつつあった、キャラクターパジャマも、版権料のわりに売れないキャラクターのばかり買ってしまい、ごく一部のキャラクターを除いて(某セ-×ーム-ンとかね。これは売れた。なぜか青年男子にも)、全体的に低迷ぎみでした。



重ねて、ディスプレイや販促企画の費用も、やっぱりシーズンですから、普通以上に出ていきます。
おまけに、昨年は無かった直営店事業の経費。なかでも本部長率いる埼玉店にかけたもろもろの経費がダントツに大きかったのです。

結局、オープンのあと、クリスマスシーズンを埼玉ですごした本部長は、相変わらずのホテル住まい&取締役の出張手当を毎日もらい続けました。仕事はといえば、気の向いたときに商品を再優先で発注、そして返品というあいかわらずの「名」店長。
おまけに、現地でやとったバイトの店員が気に入らず、またバイトの方も愛想をつかし、
「やっぱりバイトじゃだめよねぇ
と、悪態も負け惜しみともつかぬ台詞とともに、本社の受付嬢と総務部の女子社員を一週間交代で販売員として埼玉に呼んでほしい、という訴えをおこします。
もちろん、彼女たち、本社の人間を販売員として使うためには、毎日出張手当込の宿泊費用を払い続けなければなりません。



またも本部長のわがままから、おバカな出張計画が・・・という話はまたたく間に社内にひろまり、今度は話を聞きつけた他の直営店から不満の声がでました。
「なぜ、埼玉の店ばかり優遇させるの?!」
どこもこの時期、それなりにいそがしいのはあたりまえ。人手が足りなくて、実際2週間休みなしの店長もあったくらいです。
それなのに、本部長はホテル住まいで、週休も取り、しかもその休みのとり方は、わざとらしい社長の出張にキッチリあわせてあるという、仕事してんだか(もちろんしてるんだろうけど)、ナニしてんだか分からない日々を送っていました。これで人手が足りないなんてヘソが茶を沸かします。



普通に考えても、この忙しいシーズンに、宿泊出張費をつけてまで販売員を派遣などできるわけはありません。ましてや、会社の経営状態もすこぶる良いわけでもないのに・・・・
当然、こんな暴挙はゆるされないはずです。
ところが、愛する本部長のために、社長は何を思ったのか、
「なにしろ、埼玉店は、われわれ直営店のかなめ。
 優秀な店員をそろえておかなければならないのだ!」
と、朝礼で言い放ち、本部長の望みを即座に許可するという暴挙にでてしまったのです。



思ったほど芳ばしくない経営状況に、とうとう常識を逸脱しちゃったんでしょうか? このあたりから、社長の逆ギレ的経営手腕が存分に発揮されていきます。
とうとう、受付・総務の女子社員は交代で本部長の待つ埼玉へと出かけることになってしまいました。
昼は本部長となれない販売業務、夜は自宅を離れて安宿ですごすという1週間に、返ってきた者は皆目に見えるほどの疲労を背負っておりました。あげく行って返ってきたら体重が3kgも落ちてしまった、という者まででる始末。
あまりの疲労ぶりに埼玉の状況を知るものとして、聞いてみたところ、
「クリスマスだからっていって・・・
 着ぐるみきせられて店にたたされた・・・
 本部長はいつものブランドものの服なのに・・・」
と、思い出すのもつらそうな様子。
それも、サンタの格好ならまだいいほうで、悪いときは“ア×パンマン”や“となりのト×ロ”、もっとひどくなると、“ウルトラマン”“仮面ライダー”だったというのです。
まさに、聞くも涙、語るも涙の物語です。
たしかに子供受けはよかったそうです。商品たたんでいたりしたら、後ろから「ライダーキ〜〜〜ック!」とかいって跳んでくるらしいです。(それはそれでムカツクぞ)
でも、嫁入り前のお嬢さんたちですよ。いくら知人がいない土地だとはいえ、イブの日に「ライダー見参!!」はなかろうて・・・。



そして、驚くことにこの恐怖の「派遣販売員コスプレ体制」はクリスマス商戦〜年末商戦〜年始の福袋初売りと、とぎれることなく続いていったのでした。
あー経費のムダムダ。



いよいよ年越し
借金だらけのわが社、
はたして無事に年を越せるのだろうか???

今日のひとこと:
正義のヒーロー
子供は好きだが、社長も好き







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