GR-DVL7(VICTOR)
抗議の意味で評価外とします。
【コメント】
まずは、こちらの日本ビクターのプレスリリースと製品紹介を見て下さい。 GR-DVLの時もそうでした(このときは窓口に抗議はしましたがあえて寸評からは外しました)が、 1/3インチ38万画素(従来方式換算76万画素相当)のプログレッシブスキャンCCD という言い方をしています。あたかも76万画素相当の画像が得られるかの表現です。 しかし、これは非常に問題の大きい表現です。 あえてきつい表現をすれば詐欺まがいに近い誇大広告といいたいです。 日本ビクターの論理はこうです。 従来のインターレース走査CCDでは、1フィールドでみると奇数ラインと偶数ラインの画素の信号を 混合して読み出しますから、フィールド単位でみると38万画素といってもこの画素混合のために 19万画素相当になっている。 一方、プログレッシブスキャンCCDではこの画素混合をせずに読み出している。 だから従来の方式と比較すれば、フィールド単位で見ると垂直方向に倍の解像度が出せるのだから 従来の38万画素の倍の76万画素に相当する。 はたしてこれは正しいのでしょうか。 私は、以下の理由から正しくないと考えています。 (1)従来の補色市松(色差線順次)方式インターレースCCDは確かにフィールド単位で見た時には 隣接した二ラインの画素を混合してますから、38万画素のCCDならばその半分の19万画素の解像度 しかありません。しかし、これはこのとき19万画素の解像度しかないという意味であって、 画素混合しない38万画素のCCDはあくまで38万画素のCCDの解像度しかえられないもので、 76万画素に相当する解像度なんてえられるものではありません。 (2)従来の補色市松(色差線順次)方式インターレースCCDは、疑似インターレース走査といって 偶数フィールドと奇数フィールドで画素混合するラインのペアを変えます。 これによって従来方式で画素混合しているといっても、垂直解像度は半分に落ちるわけではありません。 私のホームページにある画像の多くはインターレースCCDで各フィールドごとに隣接した二ラインの 画素を混合し、偶数フィールドと奇数フィールドで画素混合するラインのペアを変えるタイプです。 それらの解像度チャートを御覧ください。静止している被写体に対しての垂直解像度はけっして250本 等という低いものではありません。どれもビデオカメラ自体は400本を優にこえる垂直解像度を得ている ものが多いです。 一般にインターレース方式はプログレッシブ方式の7〜8割程度しか垂直解像度を得られないといわれますが この劣化の一部はテレビにあります。テレビはインターレース表示をしますが、走査線の垂直方向の幅を 狭く絞りこむとテレビで見ている時に走査線が気になります。そのために、走査線があまり気にならないように インターレース方式のテレビでは走査する電子ビームの垂直方向はわずかに隣接ラインが重なる程度の絞り込みと する場合が多いです。そのたテレビの垂直解像度で劣化するのでインターレース方式はプログレッシブ方式の 7〜8割程度になるのです。パソコンモニタではプログレッシブ走査していますから、電子ビームの垂直方向は かなり絞り込みますのでみなさんはテレビで見るよりも多少解像度が良く見られているはずです。 このことから、静止している被写体に対してはプログレッシブ方式のCCDはインターレースCCDに対して 垂直解像度が1〜2割程度の向上でしか得られません。 (3)動いている被写体に対してはプログレッシブ方式はインターレース方式に対して、ぶれが少ないので 解像度の高い画像を得られる可能性があります。 フィールド周波数(59.94Hz)〜フレーム周波数(29.97Hz)あたりではプログレッシブ方式の優位性がでます。 しかし、それ以上の動きに対してはプログレッシブ方式であっても被写体の動きによるボケが出ます。 今の家庭用ビデオカメラの使用形態は手持ち撮影がメインになっています。 手持ち撮影でとっている場合、手ひれ補正がないとかなりのぶれが生じますので、被写体の動きによる ボケが比較的でやすいです。 ところで、GR-DVL7の手ふれ補正は画像劣化を伴うものです。 はたして、インターレース方式に対して2倍の解像度を得られる被写体がどれくらいあるのでしょうか。 デジカメが普及するにつれて、画素数が多い=高画質であるという風潮があります。 記録フォーマットの画素数に制限があるビデオカメラにおいてはこれは成り立たない場合が あります。(一例が、DCR-TRV900とVX1000の解像度の関係です) にもかかわらず、画素数が多い=高画質であるという風潮に付け込んで このような誇大広告を平気でうつメーカーにはあまり信頼をおけません。猛省を求めます。 さらにPCと組み合わせてノンリニア編集をやろうと思っている方には日本ビクターの製品は あまりお薦めできないことを付け加えておきます。